片山元総務相:自治体はカジノ誘致「やめるべき」地域すさむ

更新日時

元総務相の片山善博・慶大教授はカジノを中 心とした統合型リゾート(IR)推進法案について、「自治体はカジノ 誘致を絶対やめるべきだ。ギャンブルでは大損する人もいる。不幸の上 に成り立つ税収を得るのは、住民一人ひとりの自己実現を助けるべき自 治体のあるべき姿ではない」と述べ、反対の立場を示した。

片山氏はブルームバーグとのインタビューで、「地域全体がすさん でいく。カジノの周りには消費者金融が張り付き、客が乗ってきた車を 当て込んだ自動車担保ローン業者も多くある」とカジノ誘致で環境が一 変した韓国・江原道の例を紹介。同地域は同氏が知事を務めた鳥取県が 友好提携を結んでいた関係で2000年の開業前から見てきたという。

カジノ法案は観光立国を目指す安倍晋三政権の下で自民・維新など が2013年12月に国会に提出したが衆院解散で廃案となり、今年4月に再 提出された。法案をまとめた超党派の国際観光産業振興議員連盟(通 称・カジノ議連)の岩屋毅幹事長は4日、ブルームバーグの取材に「8 月中の審議入り、今国会中の成立を目指す」と明らかにした。

片山氏は「搾取される人によって成り立つ経済や雇用。本来なら別 のまっとうな市場で使われるべきお金を横取りしていると言えなくもな い」とし、「カジノは刑法の賭博罪に当たる」と批判した。江原道の例 は石炭産業の衰退から地域を活性化するという本来の目的を達成するど ころか、荒廃させる原因になってしまったと指摘した。

自治体や関連業界の思惑

カジノ法案は、安保関連法案などの審議が終われば、今国会中にも 審議入りする可能性がある。ただ、公明党の井上義久幹事長が5日のイ ンタビューで、ギャンブル依存症などの課題に対し今回の法案が「明確 に答えているとはなかなか思えない」と述べるなど与党内にも慎重論は ある。同法案を推す岩屋氏は、「地方創生の柱は観光だと考える。IR は日本の観光業発展の起爆剤になる」と説明する。

カジノは数兆円の市場規模とされ大阪府横浜市北海道長崎 県沖縄県などの自治体が誘致を検討しているほか、米ラスベガス・サ ンズ、MGMリゾーツ・インターナショナルなど世界的なカジノ運営企 業も参入に向けた準備を進めている。国内企業ではセガサミーホールデ ィングス、コナミなど遊技機メーカーが関心を示す。

横浜市政策局政策課の村上一徳担当課長は、ブルームバーグの取材 に「当市としても将来的に少子高齢化の影響を受けるという危機感があ りIR施設は観光客の流入による雇用や税収が見込める手法の一つだ」 と述べた。同市はカジノを含む複合型の観光施設を誘致した場合、年 間4144億円の経済効果があると試算している。

--取材協力:高橋舞子、広川高史.