物言う株主ローブ氏、スズキ株取得-ソニー、ファナックに次ぐ

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物言う株主として知られるダニエル・ローブ 氏の米ヘッジファンド会社、サード・ポイントが日本企業でファナック やソニーに次いで選んだのはスズキだ。

7月31日付の投資家向け書簡はスズキ株を取得したと明らかにし た。取得株数については言及していない。今年初めには産業用ロボット メーカーのファナック、2014年後半はソニーの株を取得していた。

しんきんアセットマネジメント投信の藤原直樹運用部長はスズキ株 取得について、投資家としては株主還元に期待感を抱かせるものと指 摘。「アクティビスト」といえば会社と対立しても短期的な還元を求め る傾向にあったが最近は協力しながら株主価値を向上しようという方向 にあり、中長期に改善する形であれば非常にポジティブと考えると述べ た。

ローブ氏は株取得企業にさまざまな形で株主還元を求めてきた。フ ァナックのような企業が株主に対してより好意的な施策をとるようにな り、コーポレートガバナンス(企業統治)強化を重要施策の筆頭に掲げ る安倍晋三首相の方針はうまくいっていると、サード・ポイントは投資 家向け書簡で指摘。「アクティビズム」は投資家のみならず、資本市場 や社会一般にも重要な役割を果たしていると確信しているとした。

今回のスズキについて書簡は、インドで保有するグジャラート工場 や現地子会社マルチ・スズキからのロイヤルティー収入などの資産は本 社の時価総額を上回る価値があるとみていると指摘。

またマルチ・スズキ株は13年から3.5倍になる一方、独フォルクス ワーゲン(VW)との係争に巻き込まれたスズキの株主たちへの報いは はるかに緩やかで、スズキのバランスシートは非効率だったと指摘。そ の上で、仲裁裁判の決着が視野に入る中、支配力を有するインド市場で のビジネスに循環的な追い風が吹いていることから、スズキは過小評価 の状態にあるとみられるという。

これを受けてスズキ株は3日、前営業日比で一時4.7%高の4525.5 円となった。ブルームバーグ・データで確認できる1974年秋以来で過去 最高水準となっている。スズキは前期(15年3月期)の配当性向 が15.6%で、今期予想で13.8%。日本の大手自動車メーカーのトヨタ自 動車や日産自動車は前期の配当性向がそれぞれ29%、30%となり、スズ キはほぼ半分の水準にとどまっている。

スズキの長尾正彦常務は3日の決算会見で、スズキとしては中期経 営計画に沿って土台固めをすることが企業価値の向上につながると指摘 した。中計の配当性向15%以上の目標については、低いという意見もあ ると思うが、さまざまなリスクも抱える中で、株主との対話を通じて対 応していきたいとの考えを示した。

ロイヤルティー収入について、豊田泰輔常務はマルチ・スズキの売 上高の5-6%、総額で5億ドル程度になるとした。

スズキは11年11月、VWとの業務提携・資本関係の包括契約の解除 を決め、VWが保有するスズキ株19.9%の処分を求めて国際仲裁裁判所 の仲裁手続きを開始していた。鈴木修会長は今年6月26日の株主総会 で、係争は諸手続きがすべて完了し、結論待ちの状態だと述べていた。 長尾氏は、6月の「判断待ち」から変化ないと述べた。