中国株の急落救った中国証券金融,トップは危機予期しておらず

中国政府は6月の株式相場急落を受け て、4000億ドル(約50兆円)余りを研究者で官僚の聶慶平会長率いる中 国証券金融に委ねた。それが市場を救ったと言われている。

中国証券金融ならではの権限は株式相場の下支えに向け、中国人民 銀行(中央銀行)などから借り入れた資金で株式を買い入れることだ。 中国株が7月27日に再度急落したことで最近の不安定さがあらためて示 され、中国証券金融が成功を収めたかどうかは今のところ明らかでな い。

聶氏(53)は自身の職務について今のところ取材に応じておらず、 政府は同氏と中国証券金融が上からの指示を遂行する際にどのような裁 量を持っているかはまだ正確に説明していない。新たなポストに就いて 4週間となる同氏の著作や論評、同僚の研究者への取材から浮かび上が ってくるのは、25年の株式市場ウオッチャーとしての経験を持ち、最近 の中国の危機で不意打ちを食らったままの学者の姿だ。

聶氏は3月の記事で、「最近の上昇には構造的な強気相場の特徴が ある」と分析。一連の他の当局者や国有メディア解説者と同様、市場の 見通しについて楽観的な見解を示した。中国を信用取引融資の解禁に導 いた立案者の1人である聶氏は、借り入れで賄う株式購入があまりにも 急速に増えつつあるとの懸念を重視していなかった。

今や同氏は市場の救済者の役割を受け継ぐことになるとは考えられ ていなかった組織の責任者として「極めて困難な職務」に直面している と、北京在勤のエコノミストで中国社会科学院(CASS)金融研究所 の研究員である劉煜輝氏は指摘する。

別の仕事

中国証券金融は信用取引融資を提供する証券会社に流動性を供給す るため2011年に設立された。事情に詳しい複数の関係者によると、聶氏 ら70人余りの職員は株式市場を支援するため2兆5000億-3兆元(約50 兆-60兆円)の資金を確保している。

中国の金融制度に関する「赤い資本主義」の共著者フレーザー・ハ ウイー氏は「中国証券金融の設立時には間違いなく株式市場の救済は任 務でなかった」と指摘。「ある仕事をするために設立されたが、別の仕 事をするために依頼ないし強制されたのは明らかだ」と語った。

原題:Meet China’s Stock Rescue Chief: He Never Saw the Crisis Coming(抜粋)

--取材協力:Yi Zhu、Yang Sheng、Kevin Hamlin.