【今週の債券】長期金利上昇か、10年入札や米雇用統計警戒で売り圧力

債券市場では長期金利が上昇しやすいと予想 されている。週前半は10年利付国債入札に向けたヘッジ売り、後半には 米国雇用統計に対する警戒感が強まりやすいとの見方が背景にある。

長期金利の指標となる新発10年物国債利回りについて、ブルームバ ーグ・ニュースが前週末に市場参加者3人から聞いた今週の予想レンジ は、全体で0.38-0.45%となった。前週の相場では7月28日に約2カ月 ぶりの低水準となる0.40%まで下げた。しかし、0.4%割れを買い進む 動きはなく、30日には1週間ぶり高水準の0.425%を付けた。

みずほ信託銀行の吉野剛仁チーフファンドマネジャーは、債券相場 について、「需給イベントが金利水準を決めるのが最近の傾向だけ に、10年債入札前後はやや売られそうだ」とみている。

財務省は8月4日に10年利付国債入札を実施する。表面利率(クー ポン)は0.4%に据え置きとなる見込み。発行額は前回債と同額の2 兆4000億円程度となる。

6日には流動性供給入札が予定されている。投資家需要の強い既発 国債を追加発行する入札で、今回の対象銘柄は残存期間15.5年超から39 年未満。発行予定額は3000億円程度となる。

日銀決定会合

日本銀行は6、7日の日程で金融政策決定会合を開催する。金融政 策については現状維持となる見通しだ。結果発表後には黒田東彦総裁が 定例会見を行う。一方、米国では7日に7月の雇用統計が発表される。 ブルームバーグ調査によると、7月の非農業部門雇用者数は前月比22 万5000人の増加が見込まれている。6月は22万3000人増だった。

SMBC日興証券の森田長太郎チーフ金利ストラテジストは、「米 雇用統計発表週であり、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げの可 能性を探る先週からの一連のイベントの最後のヤマ場となる。国内では 金融政策決定会合があるが、無風の会合となるだろう」と言う。

市場参加者の今週の先物中心限月と新発10年物国債利回りの予想レ ンジは以下の通り。

◎みずほ信託銀行の吉野剛仁チーフファンドマネジャー

先物9月物147円20銭-147円70銭

10年国債利回り=0.40%-0.45%

「0.40%での需要が乏しいことが確認されたため、入札といったイ ベントを迎えて売られやすい。ただ、投資家のポジションは軽く、一定 の調整で0.45%超えとなれば買い、レンジ取引で代わり映えしない展開 が続きそう。米雇用統計では利上げ期待をどれだけ高められるか注目だ が、雇用に関しては緩やかな改善が続く状況を確認か。市場はむしろ 2%の物価目標について、合理的に確信できるのか注目している」

◎三井住友アセットマネジメントの深代潤債券運用グループヘッド

先物9月物147円20銭-147円70銭

10年国債利回り=0.39%-0.45%

「週前半は10年債入札へのヘッジ売り、後半は米雇用統計への警戒 感があり、上値が重くなる展開とみている。米雇用統計も悪くない内容 になりそうで、何かショックが起きない限りは、9月の米利上げとの見 方が出ている。日銀金融政策決定会合は政策変更はなく、材料にはなら ないだろう。10年債入札は、水準的には金利がレンジの下限にあり、警 戒感はあるが、一定の応札は集まるだろう。多少、テールが拡大するか もしれないが、相場が崩れることはないと思う」

◎メリルリンチ日本証券の大﨑秀一債券ストラテジスト

先物9月物147円20銭-147円80銭

10年国債利回り=0.38%-0.45%

「今週は10年債入札、米雇用統計が注目されているものの、相場展 開としては、方向感の乏しい状況が続きそうだ。10年債利回りは水準的 には低いが、ボラティリティが低下していることもあり、日銀トレード が効きやすい状況になっている。このほかでは、中国株の不透明要因も 相場のかく乱材料にはなりそうだ。先週末の相場は先物に比べて、10年 債利回りが高めになっており、入札を控えた売りが重荷になっていた一 方、月末の需給の良さが相場を下支えする構図となっていた」

--取材協力:赤間信行、池田祐美、酒井大輔 Editors: 崎浜秀磨, 山 中英典

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