JPX日経インデックス400のことしの定期 銘柄入れ替えで、東京電力の新規採用が専門家の間で有力視されてい る。除外では、不適切会計が歴代3社長の辞任につながった東芝の動向 が焦点。問題を抱えた2つの「東」の扱いを間違えれば、株価指数に対 する投資家の信頼が揺らぎかねない。

株主資本利益率(ROE)などを重視するJPX日経400は、年金 積立金管理運用独立行政法人(GPIF)がベンチマークの1つに採 用、保有資産を1年間で11倍に増やした影響などで連動資産が順調に拡 大している。みずほ証券などの試算によると、1年前と比べ6倍に膨ら み、市場における同指数の存在感は増している。

SMBC日興証券株式調査部の伊藤桂一チーフクオンツアナリスト は、「ことしの最大の注目点は東芝の取り扱いと入れ替えルールに従う と、入れざるを得ない東電の新規採用」と言う。

同指数の定期銘柄入れ替えは年1回行われ、ことしは8月7日に公 表予定。指数への反映は同31日で、連動資産は28日の取引終了時点でリ バランスを行う必要がある。昨年初めて行われた入れ替えは31銘柄、2 回目のことしは40銘柄程度を予想する市場関係者が多い。

専門家が予想する主な新規採用候補は東電のほか、ミクシィ、ネク ソン、東京建物、アルプス電気、日本ガイシ、ジャフコ、日本航空電子 工業、日立国際電気、NEC、MS&ADインシュアランスグループホ ールディングスなど。セイコーホールディングスやパイロットコーポレ ーション、コーセー、ヤマハ、日本郵船を挙げる向きもある。

自己資本減少でROE上がる

東電は、SMBC日興とみずほ、野村、大和の各証券が採用候補と した。「営業利益や時価総額は元から規模が大きいため、問題はない が、大幅な損失を出して自己資本が減っているため、利益が通常通りに 出たことでROEが高くなった」とSMBC日興の伊藤氏は分析。優良 企業で構成されるインデックスにふさわしいかどうかの議論は多分にあ るが、ルールに従うと入れざるを得ないとの認識だ。

除外候補は三菱食品、アイフル、日本マクドナルドホールディング ス、出光興産、JXホールディングス、日本製鋼所、日本電気硝子、コ ナミ、ユニーグループ・ホールディングス、ヤマダ電機など。親会社に よる完全子会社化でスターバックスコーヒージャパンが3月に上場廃止 となり、現在指数を構成するのは399銘柄のため、今回除外されるのは 新規採用に比べ1銘柄少なくなる。

除外をめぐり、専門家の見方を二分するのが東芝だ。SMBC日興 と野村、メリルリンチ日本、シティグループの各証券は定量評価による スコアの高さ、不適切会計問題に関し明確な結論が出ていないことなど を理由に残留を予想。みずほと大和は除外を見込む。

スタートラインに立っているか

みずほ証の永吉勇人チーフクオンツアナリストは、「過去の財務デ ータを間違えているということはスタートラインにすら立っていない。 間違えたデータを基に高ROEと言っていいのか」と指摘。昨年の入れ 替えでは、上場廃止見通しの東京エレクトロンの扱いについて早期に除 外できるよう直前にルールを改正した経緯もあり、「指数を計算するだ けの立場ではない、と東証は自覚している」と話す。

日本取引所グループの清田瞭最高経営責任者(CEO)は28日の定 例会見で、JPX日経400では最初に1000銘柄の母集団を選ぶ際、財務 データが出そろっていることが銘柄選定の「前提になる」と発言。そう でなければ、母集団に入らないというのが一般論だと述べた。14年度の 有価証券報告書がそろっていない東芝に関しては、今回のケースは特別 な事情として斟酌できるものでもない、との認識も示した。

破産手続きの開始を申し立てた海外子会社が株式取得時から多額の 債務超過だったLIXILグループも、みずほ証は除外候補とした。指 数の算出要領では、直近決算期に関し内部統制報告書に開示すべき重要 な不備があった場合、母集団から除外すると明記されている。

問われる指数の意義

経済産業省は28日、東電が申請した原子力損害賠償・廃炉等支援機 構法の規定に基づく特別事業計画の変更を認定した、と発表した。変更 概要によると、福島第1原子力発電所の事故に絡む要賠償額の見通しは 約7兆753億円になった。さらに共同通信は31日、福島第1事故をめぐ り業務上過失致死傷容疑で告訴・告発され、東京地検が2度不起訴処分 にした元東電会長ら旧経営陣3人について、東京第5検察審議会が強制 起訴すべきだと議決した、と報じた。

三井住友信託銀行の瀬良礼子マーケット・ストラテジストは、採用 候補に名を連ねる東電について「リスクの高い企業を入れるのが不思議 だ。抱えている問題が大き過ぎ、普通の企業と同一視してはいけない」 とみる。東芝の扱いも含め、指数の信頼性を維持する上で「何のために JPX日経400を作ったのかという問題を元に入れ替えをしなければな らない。数字だけで良いなら、指数を作る意味がない」と言う。

JPXなどのデータによると、定期入れ替えを公表した昨年時点の JPX日経400の3年単純平均ROEは11.2%(初期選定時点11.1%) で、東証1部は6.8%(同6%)だった。野村証券では、ことしの入れ え替えでJPX日経400は11.9%へ上昇すると予想している。

JPX日経400は東証1・2部、マザーズ、ジャスダック上場銘柄 を対象とし、流動性などによるスクリーニングで1000社に絞り、3年平 均のROEと3年累積営業利益で各40%、選定基準日時点の時価総額 で20%のウエートを勘案、定量的な総合スコアを算出する。その上で、 「独立した社外取締役の選任(2人以上)」など定性的要素も踏まえ、 スコアの高い順に400銘柄を選定する仕組みだ。

定期入れ替えでは既存の採用銘柄に優先ルールが設けられ、指数採 用銘柄で最終スコア順位が440位以内をまず採用、不足する場合は最終 スコアの上位から選ぶ。

31日のJPX日経400は0.7%高の14961.66。新規採用候補では、東 電が6.2%高で東証1部の売買代金トップとなり、ミクシィが3.5%高、 アルプス電が3.4%高、ガイシが3.4%高、日立国際電が4.2%高など。 半面、除外候補のアイフルは4.5%安だった。

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