ギリシャが5日実施した財政緊縮策の是非を 問う国民投票で反対票が多数となり、同国のユーロ残留が可能かどうか は欧州首脳の決断に委ねられることとなった。

反対票は61%に達した。ユーロはアジア時間に4週間ぶり安値に下 落した。勝利を祝う反緊縮派市民がアテネ中心部のシンタグマ広場を埋 めつくす中、メルケル独首相とオランド仏大統領はギリシャ問題を協議 するため7日にユーロ圏首脳会議招集に動いた。

ギリシャ国民の判断を受け、メルケル首相ら欧州首脳は同国への金 融支援が依然可能かどうか、難しい判断を迫られる。ギリシャの銀行の 資金が底を突きつつあり、経済破綻が近づく中で、同国のユーロ離脱の 可能性は大幅に高まった。

ユーラシア・グループのアナリスト、ムジュタバ・ラーマン氏は 「改革の公約がなされておらず、ギリシャをユーロ圏にとどめておくコ ストは不釣り合いなほど増大した」と指摘した。

ユーロはアジア時間にドルに対し下落、一時1.3%安となった。香 港時間6日午前10時8分(日本時間同11時8分)現在、0.6%安。アジ ア株の指標、MSCIアジア太平洋指数は1.1%安、日経平均は1.4%安 を付けた。

欧州首脳の間には激震が走った。最初の結果予測公表後数時間で、 独仏首脳はユーロ圏首脳会議招集を決めた。JPモルガン・チェースな どの銀行は、ギリシャのユーロ離脱が最も可能性の高いシナリオだとし ている。

ECB

欧州中央銀行(ECB)は6日、ギリシャの銀行への追加支援を協 議する。チプラス首相は大勢判明後、「われわれの最優先課題は国内金 融システムの回復だ」と発言。「わが国の危機の人道面をECBが十分 理解すると確信している」と述べた。

チプラス首相は、今や国内総生産(GDP)比180%近くまで膨れ 上がった債務の再編を含まない新たな支援計画の取りまとめはあり得な いとしてきた。

テネオ・インテリジェンスのマネジングディレクタ ー、ウォルフ ァンゴ・ピコリ氏はブルームバーグとのインタビューで、「この世界に 無料のものはない。チプラス首相が債務救済を望むなら、現実的な提案 をまとめなければならない」と指摘。「ギリシャがまず動く必要があ る」と述べた。

債務救済

債権団の一角を成す国際通貨基金(IMF)もこの危機を克服する には欧州からの追加金融支援を伴う債務救済が不可欠だと主張。IMF のブランシャール調査局長は6月14日にブログ投稿で、債務救済は低金 利での返済繰り延べを通じて達成可能だろうと述べた。

調査会社IHSグローバル・インサイトのシニアエコノミスト、デ ィエゴ・イスカロ氏は「唯一合意に達すると期待される道筋は、ギリシ ャが特定の目標を達成することを条件に、将来の債務救済を約束する条 項を合意内容に盛り込むようIMFがユーロ圏政府に働き掛けることだ ろう」と分析。「これは極めて難しいが、債権者らはギリシャのユーロ 離脱を回避するにはこれしかないとの結論に達する可能性がある」と説 明した。

欧州首脳はすぐに譲歩する意向は示していない。事情に詳しい欧州 政府当局者によれば、首脳らはチプラス首相がまずユーロ残留に向けど のような案を提示するか見守りたい考えだ。

今後の焦点は欧州首脳がユーロ残留の前提条件を拒否したギリシャ 政府と交渉し得るかどうかとなる。過去、欧州当局はポルトガルとアイ ルランドに対しては支援の見返りに緊縮策を実行させている。

最後の橋壊す

ドイツのガブリエル副首相兼経済・エネルギー相は「欧州とギリシ ャが妥協に向かうことができた最後の橋」をチプラス首相が壊したと、 6日付の独紙ターゲスシュピーゲルに掲載されるインタビューで語っ た。

欧州首脳は今回の国民投票をギリシャのユーロ圏における将来を決 するものと位置付けていた。しかしチプラス首相は投票結果にかかわら ず残留は可能であり、交渉を再開するつもりだと発言。「ギリシャ国民 は欧州との決別を託したのではなく、持続可能な合意達成に向け交渉力 を強化することを託したのだ」と話した。

原題:Greeks Reject Austerity, Setting Up Showdown on Euro Membership(抜粋)

--取材協力:Paul Tugwell、Vassilis Karamanis、Jenny Paris、Ilya Gridneff、Eleni Chrepa.

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