ソニー26年ぶり公募増資に市場は戸惑い-最大4400億円調達

更新日時

ソニーが26年ぶりとなる公募増資を含む総額 約4400億円の資金調達を発表したことに、市場からは戸惑いの声が聞か れた。同社の2期連続赤字からの回復予想を、市場は確信するには至っ ていない。

ソニーの6月30日の発表資料によると、公募増資による手取り概算 の合計上限は3215億円、新規発行株数は最大で9200万株を募る。加えて 新株予約権付社債(転換社債、CB)による調達額は1200億円を予定し ている。資金は積層型CMOSイメージセンサーの生産能力増強や研究 開発費に充当するほか、負債返済に充てる予定だ。発表を受けてソニー 株価は一時前日比で9.1%急落し、8.3%安の3461.5円で取引を終えた。

ソニーが公募増資を実施するのは1989年以来。昨年に平井一夫社長 が構造改革を断行したことが評価され、年始から株価上昇が40%を超え る中での増資発表となった。しかし、市場関係者の間では確固とした業 績回復を見ないまま、資金調達に踏み切るのは時期尚早との声も聞かれ る。

いちよしアセットマネジメントの秋野充成執行役員は「過去10年間 期待を裏切ってきて、そこで公募増資やりますとなっても、はいそうで すか、とはならない」と指摘。「1、2四半期ちゃんと業績がついてき ているというのを見せてからやれば良かった」と述べた。

SBIアセットマネジメントの運用本部長、木暮康明氏は「画像セ ンサーは伸びてもらわないといけないが、今回の増資に合うような成長 性は感じていない」と述べた。また株価にとっては「ネガティブだ。納 得しにくい」と話した。

ソニー広報担当の岡田康宏氏は今回の資金調達について、経営局面 が「構造改革フェーズから投資フェーズに移った」と説明。「財務基盤 を強化し、ゲーム&ネットワークス、エンタメ分野にも投資余力ができ る」と述べた。

イメージセンサーはスマートフォンのカメラなどに搭載されている 画像処理用半導体で、ソニー製品は米アップルや韓国サムスン電子のス マホにも搭載されている。ソニーは「強みを持つ分野に積極的かつ集中 的に投資する」としている。

ソニーはCMOSイメージセンサーの総生産能力を300ミリメート ルのウエハー枚数ベースで現在の毎月6万枚から2016年9月末までに8 万7000枚に増強する予定。調達した資金のうち1880億円を関連設備に投 資する。

1日午前、ソニー株は9時半時点で前日比0.8%高の3490.5円で取 引されている。BNPパリバ証券の若杉政寛アナリストは、取引時間内 での発表に対して、ネガティブ面はすでに株価に反映済みである可能性 が大きいと6月30日付のリポートで指摘した。希薄化による株価下落は 最高で9.8%だと試算される。

--取材協力:天野高志.

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE