スズキ:カリスマ社長退任、長男が昇格-おやじ依存脱却へ

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スズキは副社長の鈴木俊宏氏(56)が30日付 で社長に昇格する新体制を発表した。社長職から退任の鈴木修会長兼最 高経営責任者(CEO、85)は独フォルクスワーゲン(VW)との係争 に結論が出るのをこれ以上待ち切れなかったと話した。

修氏は発表会見でVWとの係争問題で国際仲裁裁判所の判断に「困 惑するほど時間がかかっている」と指摘、「これ以上待てないというこ とで人事を発表した」と述べた。自らがトップの時代の問題であり、責 任をもって後始末したいと述べ、今後は副社長から代表取締役副会長に 就任の原山保人氏とともに、VW問題を含む対外的交渉を担当していく とした。

修氏は37年間経営トップを務めており、後継体制への移行時期の遅 れが指摘されていた。新社長の俊宏氏は会見で、父親の修氏が経営を仕 切ってきた体制で、「社員もそれに慣れ切っている」と指摘し、「中小 企業のおやじ」依存体制から脱却するため一丸となり取り組むと抱負を 述べた。

VWとの提携解消後の業務提携について、俊宏氏は「自分たちで経営 基盤をみながら、まずやってみることが先」と述べ、「業務提携ありき で経営するのは違うと思う」と話した。修氏は親族経営問題の指摘に対 し、「われわれは微々たる量の株主」と指摘、「一族経営」との言葉は 当たらないとした。やる気と責任を持つ経営者なら「誰でもいいと思っ ている」と話した。

俊宏氏は東京理科大大学院を修了後、日本電装(現在のデンソー) を経て、1994年にスズキに入社。磐田工場長などを経て、2003年に取締 役、11年に副社長に就任し、経営企画部門や海外事業を担当していた。 社長と最高執行責任者(COO)を兼務する。趣味はゴルフ、日曜大 工、ヨガ。原山氏は通商産業省(現在の経済産業省)を経て、09年にス ズキに入社、主にVWとの提携、係争問題などを担当してきた。

後継者問題

修氏は1978年に社長就任後、軽自動車メーカーの地位を確立すると 同時に、インドで販売を拡大してシェアトップとなった。後進に道を譲 ろうと会長に退いた時期もあったが、後任社長の健康問題などからいず れも長続きせず、社長を兼務してきた。11年に長男の俊宏氏を含む4人 を副社長に昇格させた際には「長く1人でやっていると目の届かない失 敗が出てくる」と語り、経営全般の意思決定を合議制にした。

30日のスズキ株は新体制など会見予定発表後、一時、前日比5.5% 高の4248円まで上昇。調査会社TIWの高田悟アナリストは、懸案の後 継問題が発表されて「一定の区切りがつき不透明感が晴れた」と述べた 上で、「波乱なく着地できたとすればポジティブだ」との見方を示し た。JPモルガンの岸本章アナリストは、VW仲裁裁判が一段落して解 決に向かう期待も広がったのではとコメントした。

修氏は会見で、社長退任により「今までは一方通行だったが、今後 は言いたいことが言える雰囲気になる」と述べた。「品質問題の私の反 省は縦割り組織で横断的な話し合いが欠けていた」とも話した。

新中計

スズキは30日、新中期経営計画も発表した。発表資料によると、19 年度までの5年間で、成長のための投資と経営基盤の強化を図り、連結 売上高は15年計画の3兆1000億円から3兆7000億円に、営業利益率は 同6.1%から7.0%にそれぞれ引き上げる。外国人幹部の登用や、19年度 の配当性向15%以上なども盛り込んだ。俊宏氏は新中計について「VW 仲裁裁判でどのような結果が出ても左右されないもの」と話した。

配当性向に関しては、14年度実績が15.6%だった。会見で15%は非 常識との指摘に対して、俊宏氏は「国内外で老朽化した設備の投資案件 もあり、スズキが生き残れる企業基盤投資を重視した上で、みなさんの 期待に応える配当性向を実現したい」と述べた。

四輪事業では、5年間で20モデルの新型車を世界投入するほか、日 本市場では軽自動車シェア30%以上、小型車10万台以上、インドでは乗 用車シェア45%以上を目指す。二輪事業では商品・地域で選択と集中を 進め、赤字体質からの脱却を図る。

19年度の世界販売目標台数は、四輪車が340万台で、うち日本で70 万台、アジアで220万台を計画。二輪車は世界で200万台、うちアジア で150万台の販売を目指す。スズキの14年度の純利益は前年度比9.9%減 の969億円、売上高は同2.6%増の3兆155億円だった。

スズキは11年11月にVWに対し、保有するスズキ株の返還を求めて 提訴した。スズキがVWと提携を発表したのは、米ゼネラル・モーター ズ(GM)との資本提携関係を解消した翌年の09年12月。VWとの共同 会見で修氏は「われわれのような小さい会社は単独ではやっていけな い」という思いから、生き残りへの道筋を示したと述べていた。

6月26日の株主総会で修氏は、VWとの係争について諸手続きは全 て完了していると明らかにした上で、国際仲裁裁判所で判断に長い時間 を要していることに「困惑している」と述べていた。

--取材協力:堀江政嗣.

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