ギリシャ危機、新興国に「ブラックスワン」の危険及ぶ恐れ

また質への逃避が始まった。ギリシャのデフ ォルト(債務不履行)懸念が浮上、同国の銀行が経営破綻すれば他の欧 州諸国に波及し、世界的な影響を及ぼしかねないからだ。

ただ今回は、欧州と米国は銀行の監視・支援の新たな仕組みや流動 性注入の通貨スワップ協定などを通じて強化した政策手段で、ギリシャ 危機の波及リスクに立ち向かう。日銀は既に前例のない金融刺激策を講 じている。

先進国はギリシャのユーロ圏離脱(Grexit)リスクを2008年 の大混乱ほどの恐怖ではないとみなすことができるとしても、一部新興 国の足元は望ましくない方向に動いている。新興国の成長率は全体とし て07年のペースの半分に満たない。インドネシアやマレーシアなど一部 新興国は通貨が下落していてもドル建て債務は増大しており、一斉にリ スク回避の動きが起きた場合の脆弱(ぜいじゃく)性が増している。

フン・グローバル・インスティチュート(香港)のフェロー、アン ドルー・シェン氏は「心理的にはほとんど誰もが何らかのGrexit に備えている」と指摘。「分からないのは誰も考え付かなかった未知の ブラックスワンが出てくるかどうかだ」と付け加えた。

ハンガリー・フォリントやインドネシア・ルピアなど新興国通貨 は、ギリシャが欧州や国際通貨基金(IMF)などの債権者との支援交 渉を中断する決定を受けて下落した。中国では中国人民銀行(中央銀 行)による週末の利下げと預金準備率の一部引き下げにもかかわらず、 株価が急落した。

新興国にとって重要なイベントリスクはギリシャが7月5日に予定 する国民投票だ。オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)の アナリストらはリポートで、救済協議でギリシャに提示された改革案を 有権者が拒否した場合、リスク回避や新興アジア諸国への悪影響が見ら れるだろうが、影響は限定的でリーマンショック時の規模には及ばない と予測した。

一方、より深刻なシナリオが現実になり、イタリアやスペインなど 他のユーロ圏諸国も借り入れコストの急上昇で打撃を受ける場合には、 世界の成長をリードするアジア諸国も痛手を被るとIHSグローバル・ インサイトのアジア太平洋チーフエコノミスト、ラジブ・ビスワス氏は 述べた。

原題:Greece Risk May Pose Black Swan Dangers for Emerging Markets (1)(抜粋)

--取材協力:Ailing Tan、Rishaad Salamat、Sandrine Rastello.

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