ギリシャをEUは放り出せないと首相-ECBは残留可能示唆

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ギリシャの将来をめぐる同国のチプラス首相 と欧州首脳の応酬は激しさを増した。ギリシャ政府が同国支援プログラ ムの失効に向け準備を進める中、同国の市民は資本規制への対応を迫ら れている。

ギリシャの首都アテネ中心部のシンタグマ広場には1万2000人の市 民が集結。「われわれの生活は債権者のものではない」と記した横断幕 もあった。チプラス首相はERTテレビとのインタビューで、ギリシャ をユーロ圏から放り出せばそのコストは「膨大」であり、欧州首脳はそ のような挙に出ることはないだろうとの考えを示した。一方、欧州中央 銀行(ECB)の理事は7月5日の国民投票でチプラス首相の政策が拒 否されれば同国のユーロ残留の道筋を見いだし得ると示唆した。

チプラス首相と欧州首脳は共に、各方面を驚かせた国民投票発表に よる情勢の変化を見極めようとしている。このまま行けばギリシャは今 月30日に期日を迎える17億ドル(約2100億円)の国際通貨基金 (IMF)への返済を行わない見通しで、同国支援プラグラムも月末で 失効する。

ECBのクーレ理事は「これまで想定の1つでしかなかったユーロ 離脱の可能性は残念ながらもはや排除できなくなった」と、29日遅く公 表されたフランス紙レゼコーとのインタビューで発言した。

一方でチプラス首相は、威信を傷つけられたという怒りの感情が有 権者を反対票を投じる方向に駆り立てると期待している。同首相は「国 民投票により、交渉再開時のわれわれの立場は強まるだろう」と同テレ ビインタビューで発言。「投票率が高ければ高いほど、そして反対票が 多ければ多いほど、われわれの立場は強くなる」と述べた。

早期選挙の可能性

大方の予想通り国民投票で緊縮策が承認されれば現政権は支持を失 い、早期選挙で債権者の要求により柔軟な姿勢を取る新政権が発足する 可能性がある。

UBSウェルス・マネジメントの南アジア太平洋担当最高投資責任 者(CIO)、ケルビン・テイ氏(シンガポール在勤)は「有権者が救 済策支持の判断を下す確率は60%とみている」と発言。「その場合、反 対投票を積極的に呼び掛けていた現政権への退陣圧力が強まり、混乱の 時期が続く可能性が高い」と予測した。同氏はまた、「退陣となれば、 最終的な合意取りまとめと締結は新たな選挙の時期を経た後になるだろ う。ただ7月20日に32億ユーロの支払いが控えていることを忘れてはな らない」と指摘した。

アジア株

欧州株の指標、ストックス欧州600指数は29日、2.7%安で終了。イ タリア、スペイン、ポルトガルの債券利回りは急上昇した。アテネ証券 取引所の取引は停止されている。アジア時間30日午前の段階で、アジア 株は一部値を戻した。香港時間午前10時10分(日本時間同11時10分)現 在、前日に3カ月ぶり安値を付けたMSCIアジア太平洋指数は0.2% 高となっている。ユーロは対ドルで0.3%安の1ユーロ=1.1202ドル。

ドイツのショイブレ財務相はARDテレビとのインタビューで、 「ギリシャ政府の振る舞いは信じ難いものだった」と指摘。「ギリシャ が欧州を破壊することはできない」と語った。

メルケル独首相とオランド仏大統領もギリシャへの譲歩の姿勢は見 せなかった。ユンケル欧州委員長は、国民投票でギリシャ国民が緊縮策 に「ノー」を表明すれば、同国が欧州に背を向けたと世界は理解するだ ろうと話した。

原題:Tsipras Says EU Won’t Eject Greece as ECB Signals Way Out (1)(抜粋)

--取材協力:Paul Tugwell、Nikos Chrysoloras、Patrick Donahue、Jeffrey Vögeli、Arne Delfs、Celeste Perri、James G. Neuger、Thomas Penny、Justin Sink、Esteban Duarte、Mark Deen.

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