債券上昇、ギリシャ協議決裂でリスク回避の買い-0.4%台前半は慎重

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債券相場は上昇。ギリシャ債務問題をめぐる 欧州連合(EU)との支援協議が前週末に決裂したことを受け、投資家 などからリスク回避の買いが先行した。一方、長期金利0.4%台前半の 水準では買いに慎重との見方が出ていた。

29日の長期国債先物市場で中心限月9月物は、前週末比40銭高 の147円12銭で取引を開始した後、147円26銭と、中心限月の日中取引ベ ースで9日以来の水準まで上伸。午後にかけては伸び悩みとなり、一時 は147円05銭まで水準を切り下げた。しかし、下値は堅く、結局、45銭 高の147円17銭で取引を終えた。

現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の339回債利回 りは、日本相互証券が公表した前週末午後3時時点の参照値より3.5ベ ーシスポイント(bp)低い0.435%で開始後、0.43%と22日以来の低水準 を付け、その後は0.44%で推移。午後はいったん0.445%を付けた後、 再び0.44%で取引されている。

BNPパリバ証券の藤木智久チーフ債券ストラテジストは、ギリシ ャの債務問題に関する協議が前週はやや楽観方向に振れていたため、週 末の協議が決裂したことで各市場でポジションの巻き戻しと説明。「7 月5日の国民投票に関心が向かうも、ギリシャと債権団との溝が深まっ たことで、今後の交渉プロセスの不確実性が高まった」と述べた。た だ、「10年債利回りの0.4%割れには追加的な材料が必要」との見方も 示した。

27日のブリュッセルでのユーロ圏財務相会合は、ギリシャ側が求め た救済プログラムの1カ月延長を拒否。ギリシャのチプラス首相は債権 者側が提示した歳出削減策を受け入れず、最新の支援条件をめぐり7月 5日に国民投票を実施すると表明した。

UBS証券の井川雄亮デスクストラテジストは、ギリシャ問題につ いて、「債権団の提案の是非を問う国民投票を見るまで分からない。ノ ーという回答になっても、欧州安定化メカニズム(ESM)を活用し、 欧州周辺国への伝染は限られると思う」と述べた。一方、「米雇用統計 が強い内容になれば、今買われている債券の巻き戻しが起きる可能性も ある」と話した。

日本銀行がきょう実施した長期国債買い入れオペ2本の結果による と、残存期間5年超10年以下の応札倍率は4.00倍と、昨年10月29日以来 の高水準となった。変動利付国債は2.88倍と、前回4月24日の3.66倍か ら低下した。オペ結果の債券相場への影響は限定的となっている。

経済産業省がこの日午前に発表した5月の鉱工業生産指数は前月 比2.2%低下した。マイナスは2カ月ぶりで、ブルームバーグの事前予 想の同0.8%低下(中央値)を大きく下回った。経産省は基調判断を 「一進一退」に下方修正した。

野村証券の松沢中チーフストラテジストは、鉱工業生産について、 「債券にややポジティブ。5月実績が市場予想を下回り、4-6月はい ったん減産になる可能性が濃厚。減産が7-9月も続くとは思えない が、輸出の伸び悩みで生産回復がもた付いている印象」と分析した。

--取材協力:赤間信行、池田祐美.

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