【今週の債券】長期金利0.4%台下限探る、ギリシャ懸念や新四半期入り

今週の債券市場では長期金利が0.4%台で低 下余地を探ると予想されている。ギリシャの金融支援問題の不透明感で リスク回避の動きが強まっていることに加え、7-9月期入り相場とな ることで投資家からの買いが入るとの見方が出ている。

長期金利の指標となる新発10年物国債利回りについて、ブルームバ ーグ・ニュースが前週末に市場参加者3人から聞いた今週の予想レンジ は、全体で0.42-0.535%となった。前週は22日に0.415%を付けた後、 徐々に上昇に転じ、26日には1週間ぶり高水準の0.485%を付けた。

パインブリッジ・インベストメンツ債券運用部の松川忠部長は、今 週の債券相場について、ギリシャと債権者間の協議が折り合えずに問題 先送り、デフォルトの危機に陥るようだと、リスクオフで債券が買われ る展開になるとみている。

欧州連合(EU)は27日に開いたユーロ圏財務相会合で、ギリシャ 側が求めた6月末の金融支援の期限の1カ月延長を拒否した。EU側の 財政改革案をめぐる国民投票を事実上拒否する内容。支援交渉が合意に 達しないまま期限を迎えれば、ギリシャの債務不履行(デフォルト)の 現実味が出てくる。同国のチプラス首相は最新の支援条件をめぐり7月 5日に国民投票を実施すると表明した。

10年債入札

財務省は7月2日に10年利付国債の価格競争入札を実施する。表面 利率(クーポン)は前回債から据え置きの0.4%となる見込み。発行予 定額は前回債と同額の2兆4000億円程度となる。

マスミューチュアル生命保険運用戦略部の嶋村哲金利統括グループ 長は、10年債入札について、「0.5%に近い水準であれば無難な結果に なりそうだ」と予想する。ただ、「2日の夜に米雇用統計が発表される のが若干気になっている」と言う。

米雇用統計について、ブルームバーグの事前調査によると、非農業 部門雇用者数は予想中央値で前月比23万人増の見通し。5月は予想を上 回る28万人増となり、米連邦準備制度理事会(FRB)による早期利上 げ観測が強まった。

野村証券の松沢中チーフストラテジストは、金利低下材料を挙げる とすれば、イエレンFRB議長が12月利上げ派であることが明らかにな ることと指摘。「議長はそのような言質を取られぬよう注意を払うほ か、仮に12月派でもこの先の景気指標好転で9月派にシフトする可能性 がある。失業保険等から判断して、次の雇用統計の下振れは考えづらい 点を踏まえれば、FRBのさらなるハト派化シナリオに賭けるのは得策 ではなかろう」と言う。

日本銀行が1日に企業短期経済観測調査(短観、6月調査)を公表 する。ブルームバーグが集計した事前予想の中央値は大企業製造業DI がプラス12。3月調査もプラス12だった。先行きはプラス14に改善する 見通しだ。

市場参加者の今週の先物中心限月と新発10年物国債利回りの予想レ ンジは以下の通り。

◎マスミューチュアル生命保険運用戦略部の嶋村哲金利統括グループ長

先物9月物146円15銭-147円15銭

10年国債利回り=0.435%-0.535%

「基本的には海外金利の動向に振らされる展開。仮にギリシャ問題 が一応の決着を見た場合、外部環境としての主役は米債市場にシフトす るとみている。雇用統計を含めた一連の米経済指標で、米利上げ期待が 高まった場合、米10年債利回りは2.6%を目指しそう。円債利回りもそ れにつれて上昇圧力が加わることになりそうだ。ただ、7-9月期の初 めということで、円金利の上昇局面では買いも見込まれる」

◎JPモルガン・アセット・マネジメントの塚谷厳治債券運用部長

先物9月物146円40銭-147円20銭

10年国債利回り=0.42%-0.50%

「ギリシャ問題の行方次第。10年債入札は、現行の利回り水準であ れば買いが入るので、心配ないだろう。6月の米雇用統計は予想の範囲 内であれば、織り込み済みで影響はない。すでに米景気の強さを織り込 み、利回り曲線は傾斜化している。日銀短観は、非製造業が強いが、基 本的に横ばい圏内の見通し。サプライズはなく、日銀の金融政策への影 響もないだろう」

◎パインブリッジ・インベストメンツ債券運用部の松川忠部長

先物9月物146円30銭-147円10銭

10年国債利回り=0.43%-0.52%

「ギリシャ問題以外では、10年債入札と米雇用統計に注目してい る。雇用情勢の改善が続くようだと、9月の利上げ開始の思惑が債券の 上値を圧迫するだろう。米雇用統計への警戒感が広がると、2日の入札 前後に10年債利回りが0.5%台に上昇する場面もありそうだ。一方、今 月は国債大量償還もあって投資資金は潤沢となっている。投資家は金利 上昇時には押し目買いスタンス」

--取材協力:赤間信行、池田祐美、酒井大輔 Editors: 崎浜秀磨, 山 中英典

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