ユーロ離脱が現実味を増す中、ギリシャは29 日未明、国内金融システムの崩壊回避で銀行閉鎖と資本規制導入を発表 した。

ギリシャ政府がアテネ時間29日午前3時(日本時間同9時)前に発 令した法令によれば、現金引き出しは1日当たり60ユーロ(約8100円) までとされるほか、海外送金などが禁止される。また銀行は29日から少 なくとも7月6日まで休業する。

波乱の週末は26日深夜のチプラス首相の突然の発表から始まった。 債権団が求める緊縮策の賛否を問う国民投票を7月5日に実施すると首 相が表明すると、同国内では預金を引き出すため市民が銀行の現金自動 預払機(ATM)の前に長い列をつくり、ガソリンスタンドにも車が押 し寄せた。ギリシャがユーロ圏を離脱した場合の影響波及のリスクが嫌 気され、ユーロは29日に下落。アジア株も下げた。

ニューヨーク大学スターン経営大学院のニコラス・エコノミデス教 授は電話インタビューで、「ギリシャにとって深い失意の日となった」 と発言。「既に停滞しているギリシャ経済は著しく失速しよう」と指摘 した。

ギリシャ支援協議は26日遅く決裂。欧州中央銀行(ECB)もギリ シャの銀行向け緊急流動性支援(ELA)の上限を据え置くことを決 め、ギリシャは銀行閉鎖・資本規制に踏み切った。同国は2013年のキプ ロスに続きユーロ圏で2番目の資本規制導入国となった。

国民に平静呼び掛け

チプラス首相は28日夜に行った国民向けテレビ演説で、「この先し ばらくの間求められるのは忍耐と平静さだ」と発言。「国民の銀行預金 は完全に保証される。賃金や年金支払いも同様だ」と語った。

メルケル独首相はオバマ米大統領と28日に電話で協議。ギリシャの ユーロ残留が重要だという認識で一致した。またルー米財務長官はチプ ラス首相との電話協議で、危機への持続可能な解決策を見いだすことが ギリシャの利益に最もかなうと話した。米財務省が声明で明らかにし た。

先週にはギリシャと債権団との合意への期待が高まり株式・債券相 場は上昇したが、週末に情勢は一変した。26日深夜にチプラス首相が国 民投票実施を表明すると、楽観論は後退した。ギリシャの国際通貨基金 (IMF)への17億ドル(約2100億円)の返済期日である今月30日には 現行のギリシャ支援プログラムも失効する。同国はまた7月20日には ECBが保有する国債35億ユーロの償還が控えている。

ECB政策委員会は28日、ギリシャの銀行向けELAの上限を従来 の約890億ユーロで据え置くことを決めた。

ユーロ下落

アジア株の指標、MSCIアジア太平洋指数は香港時間29日午前10 時(日本時間同11時)現在、1.4%安と、日中取引としては4月30日以 来の大幅下落となった。ユーロはドルに対し、1ユーロ=1.0955ドル と、6月1日以来の安値。下げ幅も1月終盤以降で最大となった。

AMPキャピタル・インベスターズの投資戦略責任者、シェーン・ オリバー氏は電子メールで、「ギリシャが国民投票をしようと思えば、 数週間前に簡単にできただろう。ただ、これによりギリシャ国民がユー ロ残留と離脱のどちらを望んでいるかはっきりするため、方向性として は良い」とし、「IMFの支払い期日と融資プログラム失効の後に国民 投票を実施することで、ギリシャは最大限の不確実性と混乱を確実にし た」と指摘した。

ブリュッセルでのギリシャ支援協議が物別れとなった後、ギリシャ の銀行ATMの前には長蛇の列ができた。スカイテレビによれば最大10 億ユーロが引き出されたという。

原題:Greece Imposes Capital Controls, Banks Shut to Limit Fallout (1)(抜粋)

--取材協力:Marcus Bensasson、Nikos Chrysoloras.

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