【日本株週間展望】ギリシャ最悪回避読み続伸、米中はリスク

7月1週(6月29-7月3日)の日本株は続 伸する見通し。ギリシャが債務不履行(デフォルト)に陥る事態が回避 されれば、日経平均株価は1996年12月以来の2万1000円に乗せる可能性 がある。一方、年後半に入る世界の金融市場にとって米国の利上げ、中 国株動向はリスク要因で、マネー逆流のシナリオに留意が必要だ。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の投資情報部長、藤戸則弘氏 は「先送りに過ぎないが、6月末の最悪シナリオを回避するという『ギ リシャプレイ』が日経平均2万円割れから戻す直接的引き金になったの は間違いない」と指摘。短期勢を中心とした欧州系資金が動いており、 設備投資など「消費税率引き上げの影響が取れてきた国内ファンダメン タルズ改善への期待もある」と言う。

6月4週の日経平均は週間で2.6%高の2万706円15銭と4週ぶりに 反発。24日の取引でITバブルの2000年4月高値(2万833円)を更新 し、橋本龍太郎政権の誕生やルーズソックスが流行した96年以来の水準 に達した。12年に合意したギリシャ第2次救済プログラムの失効が6 月30日に迫る中、ギリシャ政府が年金と財政目標に関する新たな提案を 行い、一時は債権団との合意機運が強まった。ただ、欧州連合(EU) 首脳会議が行われたベルギー時間25日時点で協議は未決着だ。

SMBC日興証券のまとめによると、ギリシャの国際通貨基金 (IMF)に対する返済スケジュールは6月30日に15億ユーロ(約2100 億円)、7月に4.7億ユーロ、8月に1.8億ユーロの期限を迎える。ま た、欧州中央銀行(ECB)が保有するギリシャ国債の償還も7月に35 億ユーロ、8月に32億ユーロある。

ギリシャ政府債務の約8割はEU、IMF、ECBのトロイカが保 有、民間銀行は2割程度で、「デフォルトしても困るのはギリシャとト ロイカ」と同証チーフエコノミストの牧野潤一氏。ただ、ユーロ圏イン ターバンクは安定しており、仮にギリシャがデフォルトしてもユーロ圏 銀行が大きな損失を被ることはなく、「欧州金融システムや世界市場を 大きく揺るがすことはないのではないか」と同氏はみている。

ユーロ圏インターバンク市場は安定

欧州銀行間取引金利(Euribor)からユーロ圏オーバーナイト金利 (EONIA)を引く上乗せ金利は、リーマン・ショックを受けた08年10月 に200ベーシスポイントに跳ね上がった後に低下し、欧州債務危機への 警戒が強まった11年に再度100ベーシスポイントに再浮上したが、13年 以降は10-20台、直近は11と平時の状態にある。また牧野氏は、ギリシ ャがユーロ圏から離脱すると、「ユーロは増価するだろう。これはドイ ツ経済を不利にし、競争相手の日本を有利化させる」とも指摘した。

国内では、1日に日本銀行が6月の企業短期経済観測調査(短観) を公表する。ブルームバーグの市場予想では、大企業・製造業の業況判 断DIは12と3月調査に対し横ばい、非製造業は22と3ポイント改善す るもよう。DIの動きは鈍いが、15年度の大企業・全産業の設備投資計 画はプラス5.3%と、前回のマイナス1.2%から好転が見込まれる。

バークレイズ証券チーフエコノミストの森田京平氏は、3月時点の 弱さについて「為替や原油安の恩恵を受け、企業の収益環境が過去最高 水準にある点を踏まえると、ややショックな結果だった」と回顧。一方 で、1-3月期の法人企業統計をはじめ「足元の設備投資関連データは 底堅い動きが続いている。短観でも、設備投資計画がしっかりと上方修 正されるかどうかに注目したい」としている。

日経平均が18年半ぶりの高値を付けた後も、引き続き堅調な相場展 開を想定する市場関係者は多い。「ITバブル時とは企業の収益力も違 い、バリュエーションも異なる。説明のつく水準での高値だ」と話すの はファイブスター投信投資顧問の大木昌光運用部長。25日時点の東証1 部銘柄の今期予想PERは17.6倍で、米S&P500種株価指数は17.8 倍、ストックス欧州600指数は16.8倍となっている。

9年ぶり利上げ、3兆ドルの行方

間もなくことし前半を終える世界の株式市場は、25日時点で3.4倍 となったベネズエラが上昇率トップ。40%高の中国上海が続き、日経平 均は19%高とドイツやフランスの欧州勢を抑え、米S&P500は2.1%高 にとどまった。

年後半に向け、三菱モルガン証の藤戸氏は利上げを織り込み始めた 米国株、バブルの様相を強める中国株の動向がリスクだと分析。「米国 は9年間利上げがなかった。3次にわたる非伝統的緩和を行った後であ り、普通にいくわけがなく、資産が2.2兆ドル、あるいは3兆ドルとさ れるヘッジファンドにも影響を及ぼす」とし、日本株も影響は免れない と懸念している。中国上海総合指数は12日に一時5178ポイントと08年以 来の高値を付けた後、4500割れまで急激に下げるなど波乱の様相だ。

7月1週は、1日に米国で6月の供給管理協会(ISM)の製造業 景況指数や新車販売台数、2日に雇用統計が発表予定で、米雇用統計に おける非農業部門雇用者数の伸びは市場予想で22.7万人増。5月は予想 を上回る28万人増となり、早期利上げ観測の高まりでその後米長期金利 が上昇、昨秋以来の2.5%に接近する一因になった。再び米長期金利が 上昇基調を強めれば、リスク資産回避の動きにつながりかねない。

--取材協力:佐野七緒.

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