5月の消費者物価は前年比0.1%上昇-予想を小幅上回る

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5月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く コアCPI)は、前年比で上昇した。当面、原油価格下落の下押し圧力 が続くとの見方が強い。

総務省が26日発表した5月の全国コアCPIは前年比0.1%上昇し た。ブルームバーグがまとめた予想中央値(ゼロ%)を上回った。前月 の伸び率は0.3%で、同月まで残った消費増税の影響を除くとゼロ%だ った。

日本銀行は2013年4月、黒田東彦総裁の下で、2年で2%の物価目 標の達成を目指し、量的・質的金融緩和を導入。昨年10月には追加緩和 も行ったが、異次元緩和から2年が過ぎてなおコアCPIの伸びは低水 準にとどまっている。

物価の基調を見る上で参考となる食料(酒類を除く)及びエネルギ ーを除く総合、いわゆるコアコアCPIは0.4%上昇。事前の予想と同 じだった。前月は0.4%上昇で、増税の影響を除くと0.2%上昇だった。

みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは発表後のリ ポートで、「『電気代』『都市ガス代』などによる押し下げ寄与を、 『生鮮食品を除く食料』『宿泊料』『外国パック旅行』『ガソリン』 『家庭用耐久財』『教養娯楽用耐久財』などによる押し上げ寄与が若干 上回った」と指摘。

この結果、「コア前年同月比のマイナス転落は7月分にずれ込む見 通しになった。いずれにせよマイナス圏の数字は数か月にとどまり、年 末までにはプラス圏へ浮上すると見込まれる」としている。

6月の東京都区部

先行指標である東京都区部の6月中旬速報はコア指数が同0.1%上 昇と、前月の伸び率(0.2%上昇)を下回った。コアコアCPIは0.2% 上昇と、前月の伸び率(0.1%上昇)を上回った。事前の予想はいずれ も0.1%上昇だった。

黒田総裁は10日の衆院財務金融委員会で、実質実効為替レートで 「ここからさらに円安はありそうにない」と発言。これを受けて円高が 進行した。19日の会見では、これまでの円安が金融政策の柔軟性を損な うことはないとの認識を示すとともに、「今の時点で円安になったら日 本経済に非常にマイナスであると言うこともできない」と語った。

10日の発言が円安けん制と受け取られたこともあり、早期の追加緩 和観測は後退している。ブルームバーグが8-15日にエコノミスト35人 を対象に実施した調査で、7月は2人(5.7%)と前回調査(25.0%) から激減。年内の予想も17人(48.6%)と前回(61.6%)から減少し た。一方で緩和なしは13人(37.1%)と前回(27.8%)から増加した。

家賃の品質調整でCPIを押し上げ

日銀の前田栄治調査統計局長は25日、内閣府で開かれた統計委員会 で、消費者物価指数の2割を占める家賃について、老朽化による品質の 劣化を調整すれば、CPI全体を最大0.2ポイント押し上げる可能性が あると指摘。来年予定されるCPIの基準改定を機に、パソコンなどに 用いている品質調整の導入に向けて議論を行うよう要請した。

総務省は来年8月、5年に1度のCPIの基準年改定を予定してお り、近く意見募集を行う。ドイツ証券の山下周チーフ金利ストラテジス トは26日のリポートで「海外では品質調整を加えている例もあり、家賃 をどう測定するかは来年のCPI見直しの重要なテーマといえよう」と している。

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