ゾンビ映画の世界でも建設続く-天津のマンハッタン化計画

まるで世界滅亡後のゾンビ映画の舞台装置の ようだ。

空っぽの高層ビル。多くが未完成のまま見放された人けのない通 り。川べりの公園に新たに植えられた花を観賞する人もいない。町全体 でロンドンのカナリーワーフ地区の約10倍の床面積に拡大するこの計画 はガラスとスチールの高層ビルに入居する働く人々を待っている。

他の世界なら無用の長物として減価償却されるだろう。債権者はわ ずかでも回収を試み、開発業者は倒産、支援してきた公的機関は赤っ恥 をかくはずだ。だが、中国では事情が違う。北部の港湾都市、天津が米 ニューヨークのマンハッタンをモデルにして進めるインフラプロジェク トは、自由貿易区としての新たな位置付けや北京とつながる高速鉄道開 業に期待をかけている。

こうした建造物の多くを裏付けとする資産を投資事業体から購入し ている天津市政府は今月、中央政府が打ち出した債務借り換えの一環と して地方債を発行した。MGMリゾーツ・インターナショナルなど一部 企業は天津での計画を断念したものの、中国の不動産開発会社カントリ ー・ガーデン・ホールディングス(碧桂園)などの企業は取り組みを加 速させている。

約7年間にわたりこのプロジェクトを追いかけてきた不動産ブロー カー、ジョーンズ・ラング・ラサールのマネジングディレクター、マイ ケル・ハート氏は「自己資金なら恐らく投資していないだろうが、政府 が失敗する方に賭けることもない」とコメント。初期段階で建てられる 建物は、鉄道の開通で活気づき、政府が国有企業を中心に主要テナント を誘致するだろうとの見方を示した。

同地域で幹線道路や橋、トンネル、高速鉄道駅舎を建設する政府系 の天津浜海新区建設投資集団(天津BHCIG)はこれらの資産を地方 政府に売却して収入を得ており、初のドル建て債を発行する計画だ。フ ィッチ・レーティングスは天津BHCIGの格付けを「A-」とし、必 要な場合には地方政府から「特別な支援を得る可能性が高い」と指摘し た。

循環

中央政府が導入した債務借り換えプログラムを利用し、インフラ計 画を存続させる他の地方政府に追随し、天津市政府は今月、132億元 (約2600億円)相当を起債。国債に対する利回りの上乗せはなかった。 中国が断ち切ることのできない循環をこうした資金調達が支えている。

米カリフォルニア大学サンディエゴ校のビクター・シー(史宗瀚) 教授は天津の「于家堡金融区での建設は続けなければならない。地方政 府資金調達事業体 (LGFV)への与信枠拡大のため、銀行が担保を 設定できるようにするためだ」と指摘。「中国は銀行に融資期限の書き 換えを命じることでLGFVや開発業者の経営破綻を阻止できる。だ が、この地区にあるオフィスビルを満室にするにはスターリンのような 独裁的手法による強制移住が必要になるだろう」と述べた。

100棟余りの高層ビルを建設する同プロジェクトにとっては難題 だ。クッシュマン・アンド・ウェイクフィールドの北京事務所ゼネラル マネジャー、ビリー・ロー氏によると、完工物件や近い将来完成する物 件の空室率は60-70%となる見通し。

原題:China’s Manhattan Project Draws Plan to Defuse Time Bomb of Debt(抜粋)

--取材協力:Kevin Hamlin、Enda Curran、Dune Lawrence、Zhang Dingmin.

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE