ドラギ総裁の柔軟性、ユーロ守るもギリシャの瀬戸際作戦を助長

欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は、同 中銀の過去の危機対応時と同じルールにのっとってプレーすることがで きない状況に置かれている。

2010年のアイルランドと13年のキプロス危機では、銀行への支援引 き揚げをちらつかせれば両国は救済条件受け入れに同意した。しかし今 度の相手のギリシャは瀬戸際作戦を展開し、ドラギ総裁は最後通達を突 きつける役目を政府に任せ、銀行支援を続けている。

ギリシャの銀行向け緊急流動性支援(ELA)の拡大はまず毎週、 さらにこのところはほぼ毎日実施になっている。ECBが銀行を支え続 けてくれるため、ギリシャ政府は資本規制を導入することもなく、債権 者との交渉を最後の最後まで引き延ばすことができた。この状況は ECB政策委員会の中で厳格なルール順守を重視するメンバーをいら立 たせたが、ドラギ総裁のこの柔軟性がユーロを守っているのかもしれな い。

ベレンベルク銀行のチーフエコノミスト、ホルガー・シュミーディ ング氏は「この全ての展開の中でECBが見せた忍耐強さが印象的だ」 とし、「ECBにとってはあまりに政治的な決定だった。アイルランド はユーロ圏を離脱しそうには見えなかったし、キプロスははるかに小さ い。人は時に、これまでは気付かなかった柔軟性が存在することに気付 くものだ」とコメントした。

市場で資金調達ができず、通常のECBオペの担保となる資産もな い銀行にELAを通じて流動性を提供する制度はECB発足時からある が、トリシェ前総裁は10年にアイルランド、13年にキプロスに対しそれ ぞれ、救済を受け入れなければELAを停止すると揺さぶりをかけた。 ギリシャに対してはまだ明示的に警告する決定には至っていない。

原題:How Draghi Shifted ECB Crisis Tactic Amid Greek Brinkmanship (2)(抜粋)

--取材協力:Joe Brennan、Christos Ziotis、Karl Stagno Navarra、Eleni Chrepa、Patrick Donahue.

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