強まるNZドル先安観、月足チャートで金融危機以来の「三役逆転」か

経済成長の鈍化を背景に、ニュージーランド (NZ)ドルの先安観が強まっている。欧州危機以降で先進国初の利上 げを背景に最強通貨だった1年前から一変。テクニカル分析は一段の NZドル安の可能性を示唆している。

対米ドル相場の月足の一目均衡表を見ると、NZドルは「雲」の下 限を抜けてきている。すでに転換線が基準線を下回り、遅行スパンが26 カ月前のローソク足を下抜けている状況で、このまま雲下に下落すれば 「三役逆転」となり、売りシグナルが点灯する。

IG証券の石川順一マーケットアナリストは、NZドルは2011年 と14年の高値で「ダブルトップ」を形成し、09年の安値を起点とする長 期サポートラインも一気に下方ブレークした形となっており、そこに三 役逆転となれば「テクニカル的に下押し圧力が警戒される」と指摘。そ の場合、09年の金融危機時の急落やその後の上値トライの分岐点となっ た1NZドル=0.65米ドルの年内トライが想定されると分析している。

ブルームバーグのデータによると、雲の下限は現在0.6869米ドルに あり、同水準は09年安値から11年高値までの上昇幅の半値戻しとも一致 する。フィボナッチ数列を用いた分析では、半値戻しを下回ると次の下 値めどは61.8%戻しの0.6403米ドルとなる。

NZドルは23日に一時0.6815米ドルと約5年ぶり安値まで下落。前 回月足チャートで三役逆転となったのは世界金融危機さなかの08年10月 で、NZドルはその後16%下落し、09年3月に0.4895米ドルと約6年ぶ り安値を付けた。

追加緩和

先週発表されたNZの1-3月の国内総生産(GDP)は前期 比0.2%増と2年ぶりの低い伸びとなった。NZ準備銀行(中央銀行) は11日に4年ぶりとなる利下げを実施、政策金利を3.5%から3.25%に 引き下げた。ウィーラー総裁は声明で、今後のデータ次第で「追加緩和 が適切になり得る」と表明。NZドルは「依然過大評価」されており、 「大幅な一段の下落調整が正当化される」とも指摘した。

マネックス証券の山本雅文シニアストラテジストは、NZは「主要 通貨の中で最も利下げをする確率が高い国」で、「当局が最も自国の通 貨を下げたいと思っている国」だとし、NZドルが今、最も売りやすい 通貨だと指摘する。

実際、NZドルはアナリストの想定を上回るペースで下落してい る。ブルームバーグ調査の年末予想の中央値は昨年9月時点の0.80米ド ルから足元0.68米ドルまで下がっており、今月に入ってからは4%下方 修正されている。

NZドルは年初から対米ドルで約12%下落。これは主要10通貨中最 大の下落率で、24日午後2時10分時点は0.6856米ドル前後で取引されて いる。昨年前半はNZ中銀による利上げを背景に6.6%高と主要通貨中 最大の上昇を記録。欧州危機が深刻化した11年以降で主要国初の利上げ は結局、3月から7月までの4回で打ち止めとなった。

ヘッジファンドなど大口投機家はNZドルの売り持ちを過去最大に 膨らませている。米商品先物取引委員会(CFTC)によると、シカゴ マーカンタイル取引所(CME)国際通貨市場(IMM)の先物取引非 商業部門のNZドルの対米ドルでの売り越しは今月9日時点でデータが さかのぼれる03年11月以降の最大となる1万1795枚まで拡大。4月28日 時点では1万180枚の買い越しだった。

IG証の石川氏は、「年後半には米国の金融政策が動くだろうとい う思惑も働きやすく、基本的にNZドルの下方向を見ておきたい」と指 摘。米国の利上げの進行度合いによっては来年以降、2000年前半の安値 を起点とする「超長期サポートラインを維持できるかが焦点として浮上 してくる可能性もある」と分析している。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE