ゴールドマンとモルガンS、正反対の道選ぶウォール街の両雄

更新日時

1人は郵便局職員の息子としてニューヨーク 市ブルックリンの公営住宅で育ち、寝室は祖母と一緒だった。もう1人 は地球の反対側のオーストラリアで生まれ、エンジニアの父を持ち、10 人兄弟の6番目としてメルボルンの快適な家庭で育った。

税務専門弁護士から貴金属セールスマンになった1人は背が低く、 ひげを生やし、ジョークを飛ばすのを忘れない。もう1人はマッキンゼ ーで何年か働いた後に金融業界に転じ、長身でひげはきれいにそり、淡 々としたそぶりだ。

そう。1人はゴールドマン・サックス・グループのロイド・ブラン クファイン会長兼最高経営責任者(CEO)、もう1人はモルガン・ス タンレーのジェームズ・ゴーマン会長兼CEO。

出自と同様、外見や人柄、スタイルも異なる両CEOは多くのビジ ネスでしのぎを削るが、それぞれの会社を正反対の方向に導こうとして いる。ブルームバーグ・マーケッツ誌7・8月号が報じている。

ゴーマン氏(56)がリテール(小口)ブローカレッジ業務に会社の 将来を託せば、一方のブランクファイン氏(60)は、金融危機以前のウ ォール街を支配したトレーディングが盛り返し、ライバルの減った競争 環境で利益を享受できると見込んでいる。

会社はそれぞれの歴史の産物ではあるが、現在の首脳のビジョンを 具現化するものだ。

CEO6年目のゴーマン氏はトップに上り詰める前の段階から、ウ ェルスマネジメント事業で拡大戦略を推進し、金融危機のさなかにはシ ティグループからスミス・バーニーを買収するチャンスをつかんだ。

CEO就任10年目に入るブランクファイン氏はゴールドマンの進路 を変える機会を与えられたが、結局、自分がこれまで手掛けてきたトレ ーディングが本命との結論に至った。

目指すは同じ成果

ブランクファイン氏は4月に南アフリカ共和国のビジネススクール で講演し、「ここしばらくは常に、ビジネスモデルについての議論があ った」と語った。かつては多くの大手金融機関の事業モデルが「皆同じ だったが、今はそれぞれが違う」と続けた。

最近数年はトレーディングが業界全体で低迷したが、ゴールドマン は財務についてのほぼ全ての尺度でモルガン・スタンレーを上回ってき た。昨年の株主資本利益率(ROE)11.2%はモルガン・スタンレーの 2倍、従業員は40%少ないが収入はゴールドマンの方が多い。これが報 酬の差につながる。ブランクファイン氏の報酬の過去5年の合計は1 億2660万ドル(約157億円)、ゴーマン氏は7480万ドルだ。

それでも、投資家はゴーマン氏の描くシナリオを信じ、モルガン・ スタンレーの株価は2年連続でゴールドマンより大きく値上がりした。 これは1999年にゴールドマンが株式を公開してから初めてのことだ。

野村ホールディングスのアナリスト、スティーブン・チュバック氏 は「投資家はモルガン・スタンレーに大きな魅力を感じる。変化が起こ っているからだ」と話す。一方「ゴールドマンに関する強気の理由は、 現在の難しい環境に適応することができるとしたらそれはゴールドマン だからだ。何度もそれを成し遂げてきた実績がある」と解説した。

両社の戦略に反映されている2人のCEOの経歴の違いは職業人に なってからも続く。ゴーマン氏は金融業界に入る前はマッキンゼーのコ ンサルタントとしてメリルリンチに助言し、その後、同社にマーケティ ング責任者として加わるなど、常に戦略的な役割を担ってきた。一方、 ブランクファイン氏はトレーディングフロアの真っただ中で働く通貨セ ールスマンを経てトレーディングチームのトップとなった。

2人は奇しくも、異なる道筋を通って同じ立場にたどり着いた。選 択した戦略は違うが目指す成果は同じだ。より高いリターン、より高い 株価、壊滅的打撃を被らないよう十分計算されたリスクレベルだ。しか もゼロサムゲームではない。

「2人とも成功するということが可能だろうか」とアトランティッ ク・エクイティーズの銀行アナリスト、クリストファー・ウィーラー氏 は問い掛け、「イエス」と答えを出した。新しいウォール街で頂点に上 り詰める道は1つではない。

原題:Wall Street Diverges as Gorman and Blankfein Take Opposite Paths(抜粋)

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE