伊藤忠:米シェール事業から撤退、保有株を1ドルで売却

伊藤忠商事は多額の減損損失を計上した米シ ェールオイル・ガス事業からの撤退を決めた。同社は北米での天然ガス 価格の今後の回復見通しなどを総合的に判断し、合弁会社の保有株式を 1ドルで売却した。

事業主体の米石油・ガス開発会社サムソン・リソーシズは19日に米 証券取引委員会に提出した資料で、伊藤忠が保有していたサムソン株す べてを1ドルで買い戻したと報告。伊藤忠広報部もブルームバーグの取 材に対し、文書でこの売却について確認した。

米プライベートエクイティ(未公開株)投資会社KKRととも に2011年に100%買収し、伊藤忠は米子会社を通じて10億4000万ドル (当時のレートで約780億円)を出資し、サムソンの株式25%を保有し ていた。

ところが天然ガス価格低迷などの影響もあり、伊藤忠は前期(15年 3月末)に同事業で435億円の減損損失を計上。前期までの累計減損額 は1000億円超に達し、帳簿上の株式簿価を全額減損処理していた。既に 損失を計上しているため売却に伴う損益への影響はない。

一方、税効果の影響で今期(16年3月期)の連結純利益を約330億 円押し上げる要因になるという。期初の業績予想には織り込み済み。今 期の連結純利益は前期比10%増の3300億円と2期ぶりの最高益更新を見 込んでいる。

伊藤忠では「北米ガス価格の回復見込み、サムソン社の経営環境や 今後の開発再開見通し等を総合的に勘案した結果、撤退を決定した」と している。今後のシェールガス・オイル事業への投資については「油ガ ス価格低下リスクや開発リスクなどの精査を尽くし、厳選して対応して いく方針」という。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE