英王室やディオールが愛したエジプト綿が存続の危機

19世紀の英ビクトリア朝時代に植民地経済を 支えたエジプト産綿花は、世界最高品質の下着と衣料の代表的な素材と なった。それから2世紀を経た今も米「カリスマ主婦」マーサ・スチュ ワート氏やクリスチャン・ディオールなどのブランドは、エジプト産綿 花の柔らかさと耐久性を高く評価している。

ところが、エジプトでは状況は異なる。ピラミッドと同様にエジプ トのアイデンティティーの一部である綿花の栽培を諦める農家が増えて いる。政府の支援がなければ綿花栽培は採算が取れず、補助金支給は打 ち切られつつあるからだ。エジプトは中東で最も多くの財政赤字を抱え る国の一つだ。米農務省によれば、綿花生産は来シーズンに35%減少し 過去最低となる可能性が高い。

国際綿花諮問委員会(ワシントン)の貿易分析担当ディレクター、 アンドレイ・ギトチャーンツ氏は「エジプト産綿花の品質はユニーク だ。生産が減少すれば他の生産国では代替生産できないと思う」と指摘 する。

繊維メーカーが割安で低品質のアジア産綿花やポリエステルなどの 素材に移行する中、エジプト産綿花の生産は30年間にわたって減少して いる。高品質綿花の需要が世界市場で占める割合は3%に満たないた め、エジプト政府は綿花向け補助金支給は妥当ではないと判断した。同 国はパン向け需要の拡大に対応できるだけの小麦を栽培できず、世界最 大の小麦輸入国となっている。

原題:Egyptian Cotton of U.K. Royalty, Dior Vanishing as Farm Aid Cut(抜粋)

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