農林中金専務:最大リスクは「米ドル金利の上昇」

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農林中央金庫の斎藤真一専務は、当面の資金 運用について「最大のリスクは米ドル金利の上昇だ」との認識を示し、 米国債券の動向に細心の注意を払っていく方針を示した。運用好調で前 期(2015年3月期に)に最高益を更新した農林中金の約65兆円に上る運 用資産の過半は米ドル建てとなっている。

農林中金は全国の農業協同組合(JAバンク)の中央機関。運用部 門担当の斎藤専務は15日のブルームバーグとのインタビューで、米ドル 金利について「去年よりは今年の方が金利が上がるリスクの切迫感は高 い」と指摘。「年内に利上げはありうべしと思いながら運営しないとい けない」と述べた。

農林中金の15年3月期決算は、円安を背景に外国債券の配当や利息 収益が膨らんだことを主因に純利益が前年同期比2倍以上の4113億円と 過去最高を記録した。市場運用資産約65兆円の通貨別割合は、日本円 の30%に対して米ドルが56%と過半数を占めており、米金利の上昇は国 債価格下落などを通じて運用戦略やその結果に影響を及ぼす。

斎藤専務は今期の運用方針について、「石橋をたたきながらも大胆 に投資していくコーシャスリーセレクティブだ」とし、金利上昇観測の ある米債券については「極めて短い年限への投資にならざるを得ない」 と述べた。農林中金は毎期、農協からの2-3兆円に加え債券償還分と 合わせ数兆円規模の新規投資を行っている。

保守的戦略

3月末の運用資産は国内債24%、外債43%、株式5%など。有価証 券の評価益は外債や投資信託などその他が1兆円超増加したが、日本国 債は489億円だった。斎藤専務は日本国債について「積極的に投資でき ない」とし、その代替先としては「ドルとユーロで探すしかないが、円 とする場合は日銀の当座預金に置いておく」と述べた。

日経平均株価が年初から15%上昇する中、斎藤専務は株式での資金 運用について、株式保有リスクを自己資本に反映するバーゼル規制の強 化見通しや収益の振れなどにも考慮し、「より多く株にアロケートして いくことにはならない」と述べた。ただ、「極端に増えたり減ったりし ない」と現状を維持する方針を示した。

今秋にも上場予定のゆうちょ銀の預金限度額引き上げなど業務拡大 について斎藤専務は、「明確に反対」と主張。農林中金の運用資産の源 である農協の預金業務に「多大な影響を及ぼすことになる」との懸念を 表明した。安倍晋三政権が進める農協改革も農林中金の業務に影響を与 える可能性があるとして注視している。

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