【日本株週間展望】2万円固め、ギリシャ警戒と待機資金交錯

6月4週(22-26日)の日本株は、日経平均 株価が2万円台を固める展開になりそうだ。ギリシャの債務交渉が決着 せず持ち越しとなり、為替の円安や企業業績に対する期待感もやや弱ま ってきた。半面、下値を売り込む明確な悪材料は見当たらず、国内外投 資家の待機資金も潤沢で、下がれば見直し買いは入る。

みずほ信託銀行の中野貴比呂シニアストラテジストは、ギリシャに ついて「結論が出ればマーケットはあっさり織り込むが、はっきりする まで問題を引きずるだろう。楽観できる状況ではない」と指摘。ただ、 下値を試すにはギリシャ問題だけではない「強いインパクトが必要」と もみている。

第3週の日経平均株価は、週間で1.1%安の2万174円24銭と3週続 落。重要イベントが相次ぐ中、ギリシャ債務交渉の不透明感や為替の円 高に対する警戒から売りが継続した。

ギリシャ問題を協議した18日のユーロ圏財務相会合は、合意できな かった。ギリシャが国際通貨基金(IMF)への約15億ユーロ(約2100 億円)の支払いが必要となる30日までに、同国が支援を得られる望みは なくなったと同会合議長を務めるオランダのデイセルブルム財務相は記 者団に述べた。ユーロ圏は22日にブリュッセルで緊急首脳会議を開 き、25日には欧州連合(EU)首脳会議も予定されている。

一方、米連邦公開市場委員会(FOMC)は16-17日に開いた会合 後の声明で景気の加速を指摘し、年内に利上げを行う姿勢を維持した。 メンバーらの新たな予測では、0.25ポイントの利上げが年内に2回実施 される可能性が示されたものの、2016年の引き上げペースの見通しは下 方修正。連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長は、引き締めは 緩やかなものになり、機械的なやり方に沿うことはないとした。

アライアンス・バーンスタインの村上尚己マーケットストラテジス トは、「日本株が5月にラリーした理由の1つは、円安が急ピッチに進 んだことだった」と分析。FOMCでは、主流派でも9月利上げが厳し いとみる人が予想以上に多く、「ドル高・円安方向は変わらないにして も、そのピッチは時間がかかるかもしれない」と言う。

日本の輸出、海外勢動向に懸念も

また、日本の5月貿易統計によると、輸出は前年同月比2.4%増と 9カ月連続で増えたが、数量指数は3.8%減と3カ月ぶりに減った。 「輸出が下振れ、4-6月国内総生産(GDP)成長率はマイナスでは ないかとの見方も出てきている。消費が弱い中で生産が腰折れすると、 ショックになる」とみずほ信託銀の中野氏は警戒する。

需給面でも、日本株売買代金の6割超を占める海外投資家の買い姿 勢に変化が出てきた。第2週(8-12日)の売買動向で、海外勢は現物 株を1727億円売り越した。金額は2月1週以来の大きさ。先物でも6000 億円以上売り越し、サンライズ・ブローカーズのトレーダー、マイキ ー・シア氏は「日本では追加緩和の期待は低いというメッセージが日本 銀行総裁から出たと思われており、6月から日本株を売っている投資家 が多い」と話す。

日銀は18-19日の金融政策決定会合で、大規模金融緩和策の現状維 持を決定。ブルームバーグがエコノミスト35人を対象に行った調査で は、10月の緩和予想は40%と引き続き最多回答となったが、「緩和な し」は37%と前回(28%)から増加した。

下値には買い需要

上値が重い半面、下値も限定される見通し。第4週は、3月期決算 企業の株主総会が集中し、26日は全体の41%が実施する。三井住友トラ スト・アセットマネジメントの三沢淳一執行役員は、「コーポレートガ バナンス改善で日本株のベースラインの評価が上がり、材料不足になる とすぐ調整してしまう従来の感じではなくなった」と指摘。日経平均が 1万9000円を割れた4月、2万円を割れた今月もすぐに節目を回復し、 「値動きだけをみると、押し目待ちの投資家が多い」としている。

第2週は海外勢の売りに対し、個人投資家の買越額は1989億円と1 月2週以来、自社株買いを含む事業法人も1199億円の買い越しと昨年11 月2週以来の多さだった。同週の日経平均下落率が0.3%にとどまった のは、買い場を待つ投資家の多さを表す。米BOAメリルリンチの6月 のグローバル投資家調査でも、平均キャッシュ比率は4.9%と前月比0.4 ポイント増加。同調査では、4.5%以上は逆張り投資の観点で株式の買 いシグナルとされている。

ギリシャの影響を楽観視する声もある。アマースト・ピアポント・ セキュリティーズのストラテジスト、ロバート・シンチ氏は「10、11年 は、ギリシャ離脱がユーロをめぐる全ての実験にとってシステミックリ スクと受け止められていた」が、現在は「単にギリシャだけの問題と考 えられている」と話している。

第4週の投資材料は、米国で22日に5月の中古住宅販売件数、23日 に耐久財受注や新築住宅販売件数が公表予定。市場予想は、中古住宅が 年率換算で前月比4.7%増の528万戸、耐久財受注が0.5%減、新築住宅 が0.6%増の520万戸を見込む。18日発表の新規失業保険申請件数や消費 者物価指数は、労働市場や景気の強さとインフレの落ち着きを示した。 緩やかな景気改善が確認できれば、株価の下支え要因になりそうだ。

このほか、中国では23日に6月のHSBC製造業購買担当者指数 (PMI)の発表があり、市場予想は49.4(前月49.2)。19日の中国株 が波乱の展開となっているだけに、統計を機に景気減速が意識されれ ば、日本株にも悪影響を及ぼす可能性がある。国内では24日に日銀会合 の議事要旨(5月開催分)、26日に5月の家計調査や失業率がある。

--取材協力:Anna Kitanaka.

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