変わらぬものはギリシャ危機、変わるのは世界の中銀

世の中には変わらないと思えるものがある。 危機がいつまでも終わらないギリシャ、米大統領の座を争うブッシュ家 とクリントン家の戦いなどがそうだ。

しかし、世界の中央銀行は変わり始めた。7年にわたって低金利と 債券購入、景気てこ入れを目指したその他の介入によって投資家を安心 させてきた中銀だが、ここにきて徐々に市場から離れつつある。

その結果、投資家はここ数週間、ボラティリティ再燃に見舞われ た。バンク・オブ・アメリカ(BOA)メリルリンチの今月の調査で は、向こう3カ月の株価下落に備えてヘッジをしたとの回答が過去最多 となった。

ドイツ銀行のG10為替責任者のアラン・ラスキン氏は「2015年は、 主要中銀が市場をゆがめ操作する姿勢を転換させた年として記憶される ことになるだろう」とし、「市場を支える措置を公然とあるいは密やか に引き揚げる中銀の行動こそがボラティリティを最近高めた原動力だ」 と指摘した。

中銀が方向転換する背景には、市場がゆがめられ参加者が政策当局 に頼り過ぎるリスクを感じ取り、これにストップをかけなくてはならな いとの認識がある。相場が幾分荒れ模様の展開になっても、放っておこ うというわけだ。

ソシエテ・ジェネラルの経済担当グローバル責任者、ミカラ・マー カッセン氏は「不安定要因となりかねない不均衡の拡大を容認して将来 さらに大きな衝撃が生ずるリスクを取るよりも、現時点でボラティリテ ィの高まりを受け入れようという戦略」があるようだと話した。

最初に政策を転換した中銀はスイス国立銀行だった。同行は1月に 突然1ユーロ=1.20スイス・フランの相場上限を撤廃し、市場を驚かせ た。相場は現在は1.05フラン前後で推移している。

次は欧州中央銀行(ECB)。ドラギ総裁は量的緩和(QE)プロ グラムによって欧州債利回りをマイナス領域にまで押し下げてきたわけ だが、最近の債券売りについて市場はボラティリティに慣れる必要があ ると発言。低金利は「金融安定へのリスクを増大させる可能性がある」 とも警告した。

BOAメリルの指数によれば、ユーロ圏の国債利回り(平均)は14 日に1.08%に上昇。ほんの3カ月前に付けた0.425%の倍以上になっ た。

日本銀行では黒田東彦総裁が先週、同行の政策が押し下げてきた円 相場について、実質実効レートでは「ここからさらに円安はありそうに ない」と発言。この発言の意図について今週、為替レートの「水準や動 きについて、先行きを占ったり、評価するものではない」と説明した が、円は前週に比べ高いままだ。

イングランド銀行のカーニー総裁は先週、「市場の流動性に予測で きない変化が起きる可能性は金融安定への明白なリスクだ。特に一部の 市場参加者が流動性を当然視し、中銀の行動を期待して同じようなポジ ションを一斉に組めばますますリスクだ」と警告している。投資家は耳 を貸すべきだろう。

原題:You’ve Been Warned: Central Bankers Turning Less Market-Friendly(抜粋)

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