【コラム】米金融当局、9月利上げ示唆へ-M・エラリアン

16、17両日開催の米連邦公開市場委 員会(FOMC)終了後、金融当局者が2006年以来となる新たな利上げ サイクルを9月に開始したい意向を示唆すれば、特筆すべきことになる だろう。

私個人としては、次の5つの事項を考慮した上で、金融当局が利上 げに傾いていることを示唆すると予想する。まず挙げられるのは経済見 通しだ。経済統計はまちまちの内容だが、金融当局はそれとバランスを 取る形で、力強い雇用創出や、異例の長期にわたる遅れを経て上向きつ つある賃金の伸びと労働参加率を含め、労働市場の堅調さが増している ことを示す指標を合せて考える必要がある。

次はインフレ見通し。あからさまなデフレの脅威は後退したもの の、「低インフレ」のリスクは残る。金融当局者は景気加速でインフレ 率を2%の目標に戻すことができるかどうかや、それが可能ならどの程 度の時間がかかるかを検討することになろう。

国際的な文脈が3番目の要素となる。ギリシャ債務問題の悪化によ って一段と顕著となった世界経済流動化の悪影響に米金融当局は最近、 敏感になっている。また、国際的な需要低迷は輸出の伸びを抑える一 方、ドル高となれば輸出や輸入製品と競合する国内製品に価格面でさら なる圧力が加わる。

4番目は金融の安定だ。金融当局者は拙速かつ行き過ぎた形で超緩 和的な政策からの出口戦略を進めて市場に混乱をもたらす事態を懸念し ている。他方で、低金利政策の長期化によって過度のリスクテークをあ おったり、資産配分をゆがめたりしないか、ファンダメンタルズ(経済 の基礎的諸条件)から金融資産があまりにも切り離された状態にあるの ではないかと心配している。

最後に流動性リスクを指摘したい。特に転換期にあって、市場の流 動性低下につながった構造変化への認識が高まり、金融安定をめぐる懸 念が増している。米国債やドイツ国債など最も安定的でリスクが低いは ずの市場での急激な相場変動は警報を発している。

これら全てを踏まえ、金融当局が条件付きで9月のFOMCで利上 げに踏み切る用意があることを示唆すると私は考える。

当局者は労働市場の改善が消費や投資を促進し、やがてインフレ率 を押し上げる公算が大きいとして安心感を抱くだろう。一方、国際情勢 は注視対象となるものの、ドル相場が比較的安定的に推移すれば、利上 げを阻止する公算は小さい。

投資家のリスク選好を冷え込ませることへの懸念がある反面、流動 性に乏しい中で市場をもっと刺激することへの警戒感もある。

決定論的な形で政策金利の道筋を示すこともないだろう。当局者は 一定の柔軟性と選択の幅を確保することに努める見通しだ。

当局者らは今回のFOMC会合から今後数週間は、最初の利上げの スケジュールがなお暫定的なものである旨を伝えようとし、その後の引 き上げも緩やかなペースで進め、過去の事例と比べて異例の低水準で利 上げが打ち止めとなるであろうことを強調する公算が大きい。

(モハメド・エラリアン)

(モハメド・エラリアン氏は、ブルームバーグ・ビューのコラムニ ストです。このコラムの内容は同氏自身の見解です)

原題:Expect Fed to Favor a September Rate Hike(抜粋)

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