日銀総裁:「金融政策に深い意味はない」-実質実効レートで

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日本銀行の黒田東彦総裁は16日、為替相場を 動かした10日の発言について国会で聞かれ、「このところの名目為替レ ートについての評価や予測として申し上げたわけではない」と述べると ともに、実質実効為替レートは「金融政策に非常に深い意味はない」と 語った。こうした発言を受けてドル円相場は円が値下がりしている。

黒田総裁は参院財政金融委員会で、10日の発言について「あくまで 理論的な説明をした」とした上で、「2国間の名目為替レートの水準や 動きについて、先行きを占ったり、評価するものではない」と発言。 「名目ベースでの円安を望んでないとか、円安にならないだろうと申し 上げたわけではない」と述べた。

民主党の大塚耕平氏の質問に答えたこの総裁発言を受けて、円相場 は一時1ドル=123円80銭まで値下がりした。午後12時45分現在、123円 台半ばで取引されている。

黒田総裁は10日の衆院財務金融委員会で、「実質実効為替レートで みると円安になっているのは事実」と指摘。実質実効レートでは「ここ からさらに円安はありそうにない」などと述べた。これを受けて、それ まで124円台半ばで推移していた円相場は直後に一時122円台まで円高が 進んだ。

全く無意味とは言わないが

黒田総裁はまた、無所属クラブの中西健治氏の実質実効為替レート の評価について聞かれ、「実質実効レートが最初に開発されたのは国際 通貨基金(IMF)で、私はその当時IMFに勤務していたので、それ をめぐる議論やその論文等を読んだことがある」と述べた。

その上で、「その後40年くらい経って、これから何かを読み取るの は非常に難しいものであり、金融政策にはすぐには役に立たない。非常 に迂遠(うえん)なものだ。為替の動きを占う面でも、直接的に含意が はっきりしているものではない」と指摘。

「この理論を開発した人を私はたまたま知っているので、全く無意 味だ、一顧だにするな、と言われると、そこまで言う必要はないと思う が、金融政策にこれが非常に深い意味や縁はないということには全く同 意見だ」と語った。

全体として悪影響及ぼさない

さらに、足元の円安の影響について維新の藤巻健史氏に聞かれ、 「確かに円安は輸出の増加、グローバルに展開している企業の収益を改 善させる。さらには株価の上昇といったプラスの効果を持つ一方で、輸 入コストの上昇、その価格転嫁を通じて非製造業の収益、あるいは家計 の実質所得の押し下げ圧力として作用するという面もある」と指摘。

「このように、円安の影響は経済主体によって異なり得る。いずれ にしても、為替相場については、経済のファンダメンタルズ(経済の基 礎的諸条件)を反映して安定して推移することが望ましいと思うし、そ ういうことであれば、全体として経済に悪影響を及ぼすことはない」と 語った。

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