米でバフェット超の伸び、東京海上H-巨額買収後も資金力で信用維持

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米HCCインシュアランス・ホールディング スを約75億ドル(約9400億円)で買収する東京海上ホールディングスの 信用力に揺るぎはない。海外企業対象で業界最大の買収だが、豊富な資 金力を背景に日本国債以上の格付けを維持している。

CMAによると、東京海上HD傘下の東京海上日動火災保険の CDSは買収発表の10日、前日比1.6bp上昇の28bpにとどまり、16 日時点は27.7bp。ブルームバーグ・インテリジェンスの集計データに よると、東京海上HDの北米での企業向け保険引受額の伸び率は昨年ま での7年で90%と上位15位で最も高く、ウォーレン・バフェット氏率い る米投資・保険会社のバークシャー・ハサウェイの51%を上回った。

国内市場の成長鈍化への対応やリスク分散に向けて、東京海上HD は08年の英キルンや米フィラデルフィア、米デルファイを相次ぎ買収し てきた。今回、東京海上日動を通じて行うHCC買収の資金は手元資金 と外部調達で賄う予定。スタンダード&プアーズ(S&P)は、東京海 上日動の格付けを国債と同じAA-に据え置いた。ムーディーズ・イン ベスターズ・サービスはAa3と国債のA1よりも高い。

S&Pの田中玲奈主席アナリストは、HCCについて「収益力の安 定した高い会社」とし、買収は「お互いを補完する」利点があると評価 する。買収資金については「手元流動性をある程度確保することは必要 なので、キャッシュとコールローン全部使うことはないだろう」とした うえで、中期経営計画で示した政策株の売却や「債券など、ある程度キ ャッシュ化できるものがある」と指摘した。

東京海上HDの大庭雅志副社長は記者会見で、買収資金について 「仮にデットファイナンスしてもレバレッジは高くならない。高格付け は維持できるものと考えている」と述べた。3月末の東京海上HDの 現・預金5366億円、コールローン4026億円の残高合計は9392億円。

キーフ・ブリュイエット・アンド・ウッズ(KBW)のアナリス ト、デービッド・スレッドゴールド氏は、東京海上HDは借金が極めて 少ないとし、「新たに調達しようとしても何も問題はない。ドル建てで の買収なので、ドルで調達したいのではないか」との見方を示した。

成長ドライバー

野村証券の大塚亘リサーチアナリストは10日付のリポートで、「東 京海上HDの過去の成長は海外事業、特に大型買収で連結化した会社が ドライバーとなっている」とし、HCC買収で海外事業の成長はさらに 加速すると指摘した。東京海上HDは、HCC買収で利益に占める海外 保険事業の割合は38%から46%に上昇する。

ブルームバーグ・インテリジェンスの集計データによると、東京海 上HDが2014年に北米で引き受けた企業向け保険額は34億ドルと全米13 位。HCCと単純合算すると11位に浮上する。

HCCは医療・傷害保険のほか、会社役員賠償責任保険、農業保険 に強く、東京海上HDは買収により、スペシャルティ保険の中でも、海 外で本格参入していなかった分野で展開が可能となる。S&Pの田中氏 は「HCCの開発力や引き受け能力を使うのはプラス」と評価した。

さらに英国、スペインなどで海外展開してきたHCCにとっては、 「自前でさらにプレゼンスを広げるのは難しい」とし、東京海上のネッ トワークを使った海外展開が可能になると見ている。

買収価格

東京海上HDの発表文によると、HCC株の取得価格は1株当た り78ドル(約9750円)となっており、過去1カ月間の平均株価に対し て35.8%上乗せされた。取得額は株価純資産倍率(PBR)で1.9倍に 相当。発行済み株式を全て取得する。

一方、HCCは税引き後利益の過去10年の平均上昇率が11.1% で、14年度は4億5800万ドル。同年度の株主資本利益率(ROE) は12.1%だった。

ジェフリーズのマカリム・サルマン氏らは、10日付のリポートで 「100%の支配権を握ることにプレミアムを支払うのは当然だが、 PBRで1.7倍が適切」と指摘した。買収額は同氏の見立てよりも1000 億円高いが、「金利のつかない現預金と、調達コストの低い借り入れ で、ROE12%の投資をするということで正当化できる」との見方も示 した。

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