トヨタ種類株、総会で可決-安定株主狙いに経営規律へ懸念も

更新日時

トヨタ自動車の株主総会は、会社側が提案し ていた種類株式の導入を可決した。種類株をめぐっては、一部の海外の 機関投資家や議決権助言会社が経営の規律が緩むことなどを理由に反対 を表明していた。

愛知県豊田市の本社で16日開催の総会では、種類株の導入に関する 議案が、承認に必要な委任状を含む投票株主の3分の2以上の賛成を得 た。広報担当の土井賀代氏によると、賛成票は速報値で約75%。質疑で は種類株発行の利点が分かりにくいとの指摘や、一般株主の議決権を薄 めるのではないかとの懸念、社債との違いなどの質問があり、トヨタの 総会としては最長の3時間超となった。

豊田章男社長は総会で種類株について、日本で個人金融資産の大半 が預金となる中、選択肢の幅を広げる狙いがあると指摘。種類株は5年 間売却できずリスクがあるため、元本を保証していくと述べた。元本保 証を選びたい人には種類株、いつでも換金できる方がいい人には普通株 があると説明した。

発表資料によると、同社の最初の乗用車の名前にちなんだ「第1回 AA型種類株式」との名称の種類株を最大5000億円発行する計画。種類 株は非上場だが議決権がある一方、当初の5年間は原則的に換金できな いなど制限がある。配当年率は発行年度に0.5%、1年ごとに0.5ポイン ト上昇し、5年目以降は2.5%。

発行後おおむね5年経過すると普通株式への転換が可能なほか、株 価が下落しても発行価格での換金機会が確保される。トヨタは「機関投 資家は株式の流動性を重視するため、中心は国内の個人投資家になる可 能性が高い」との見解を示していた。

総会で可決後の発表資料によると、種類株発行は3000万-5000万株 とし、発行価格は普通株の時価の1.26-1.30倍に設定し、7月2-7日 のうちに決定する。これによる希薄化を避けるため、種類株の発行と同 数、6000億円を上限に自己株を取得する。自己株取得は7月27日から来 年3月31日まで。5月8日に株主還元の自己株取得を発表しているが、 今回はそれとは別になるとしている。

反対意見も

トヨタの提案に対して、議決権行使助言の米グラスルイスは総会前 に「財務の柔軟性に資する」と賛意を示していた。一方、米インスティ テューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)は「安定株 主が増えると経営の規律が失われる恐れがある。普通株の株主を種類株 の株主に置き替え、従順な安定株主を増やそうとしているのでは」と反 対を表明していた。

全米2位の年金基金であるカリフォルニア州教職員退職年金基金 は、トヨタ種類株について「日本国内の株主だけの恩恵に資するもの で、すべての既存株主、特に海外の株主にとって最大限に配慮したもの とは言えない」とし、保有する430万株で反対票を投じると発表してい た。

カナダ年金制度投資委員会やフロリダ州運用管理理事会も、ISS の助言を受けて、種類株の議案に反対していた。

トヨタは種類株による調達資金は燃料電池車(FCV)開発を含む 研究開発費に充てるとしていた。

--取材協力:Ma Jie、沖本健四郎.

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE