武田薬、ノーベル賞山中教授との連携で躍進狙う-新薬開発で

武田薬品工業のクリストフ・ウェバー氏が最 高経営責任者(CEO)就任後初の契約締結を目指した時、足を運んだ のはお決まりのルートである米欧ではなく、京都大学だった。

大阪に本社を置く武田のウェバー社長兼CEOとノーベル賞受賞者 である京大iPS細胞研究所の山中伸弥所長は、10年間の共同研究契約 を締結。心不全や糖尿病などの疾患の治療法開発を目指す。ウェバー氏 が4月1日付でCEOに就任してから3週間足らずでの発表となった。 研究予算は200億円に上り、日本の大学と製薬会社が結んだ契約として は最大だ。

武田のサイエンティフィック・アフェアーズヘッド、出雲正剛氏は インタビューで、「武田も日本でこそナンバーワンだが世界ではトッ プ10にも入っていない。後追いばかりしていてもわれわれはリーダーに なれない」と指摘。「リーダーになるためにはオリジナルなものがなけ ればいけない。この共同研究を突破口にして、世界から尊敬されるベス トインクラスの製薬企業になりたい」と語った。

トヨタ自動車やソニーが技術革新で世界的な大企業に上り詰めた一 方で、国内の製薬会社は最大手でさえ最先端科学の研究成果を世界に広 めることに苦戦してきた。抗うつ剤「エビリファイ」やコレステロール 低下薬「クレストール」の例が示すように、各社とも自社薬の海外販売 を他社に委託することが多く、海外で多額の売り上げを得る機会を逸し ている。

初の外国人トップ

創業234年の武田で初の外国人トップとなったフランス人のウェバ ー氏は、業績の立て直しが課題となっている。武田の日本の研究所には 研究者が1200人ほど所属するが、武田は自社創製品からブロックバスタ ーになった新薬を16年間出していない。

ウェバー氏は最高執行責任者(COO)だった昨年9月、一人で京 都の山中教授を訪問し、がんや糖尿病などの慢性疾患の新たな治療法を めぐる共同研究の可能性を模索した。

日本医療政策機構の宮田俊男エグゼクティブディレクターは、外国 人がトップに就任したことが合意の実現につながったようだと述べ、 「武田が発表したような規模のアカデミアとの共同研究はリスクがある として日本の製薬会社はあまり手を出してこなかった」と指摘した。

ウェバー氏と山中教授のこの出会いから7カ月後、共同研究契約が 成立。山中教授主導のもと、京都大学からは研究員50人が武田の湘南研 究所(神奈川県藤沢市)に出向き、研究に取り組む予定だ。

山中教授は電子メールで、「その他の国内企業で今回と同様の規模 のご提案はまだいただいていない」と説明。「iPS細胞技術を使って 新しい創薬システムをつくることに挑戦したいという双方の思いが一致 したこと、ウェバー社長の強いリーダーシップと武田薬品の幹部の方々 のご理解が大きかったのではないかと思う」とコメントした。

原題:Nobel Laureate Allies With Takeda in Hunt for Blockbuster Drugs (抜粋)

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