【今週の債券】長期金利低下か、独米債急落一服で買い-FOMC警戒

今週の債券市場で長期金利は低下基調をたど ると予想されている。ドイツと米国の債券相場の急激な下落が一段落し ており、国内債市場でも9カ月ぶり高水準まで売られた反動の買いが入 るとの見方が出ている。

長期金利の指標となる新発10年物国債利回りについて、ブルームバ ーグ・ニュースが前週末に市場参加者3人から聞いた今週の予想レンジ は、全体で0.40-0.55%となった。前週はドイツや米国の債券相場の大 幅下落を受けて売りが優勢となり、11日には0.545%と昨年9月以来の 水準まで達した。その後、欧米債が反発すると、週末には0.4%台に下 げる場面があった。

パインブリッジ・インベストメンツ債券運用部の松川忠部長は、長 期金利について、「金利の先高観測が和らぐことで償還資金も流入 し、0.545%が今年のピークとなった可能性もある。ギリシャ問題への 楽観が弱まると債券買いの材料になる」との見方を示した。

前週末の欧州国債市場ではドイツの10年物国債利回りが0.8%台前 半に低下した。10、11日には昨年9月以来の1%台に乗せた後、水準を 切り下げている。米10年物国債利回りは一時2.5%付近だったの が、2.3%台で週内の取引を終えた。

野村証券の松沢中チーフストラテジストは、「米欧では自律反発が 始まった。今週もその流れが続くのではないか」と指摘。「6月後半 は、需給環境の良好さとハト派的な米連邦準備制度理事会(FRB)に 支えられる形で、いったん戻り相場になると考えている」と言う。

FOMCと黒田総裁会見に注目

16、17日には米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催され、終了 後に経済予測の発表とイエレンFRB議長の記者会見がある。一方、日 本銀行は18、19日に金融政策決定会合を開く。前回の会合後に発表され た1-3月期の国内総生産(GDP)の改定値が上方修正されるなど、 国内景気は順調に回復しており、金融政策の据え置きが予想されてい る。会合後には黒田東彦総裁が定例会見を行う。

野村証の松沢氏は、FOMCでは政策金利見通しは下方修正される が、9月利上げの可能性を否定しない程度だとし、「市場の想定を超え てタカ派的なメッセージが出てくる可能性は低い。FRBは拙速な利上 げの地ならしを避けるだろう」と言う。黒田総裁会見については、「先 週の発言についてその真意を明かすことはないだろうが、もし失言であ ることを匂わせるようであれば、円安投機再開のトリガーとなり得る」 とみる。

財務省は16日に5年利付国債の価格競争入札を実施する。償還日が 前回の123回債から3カ月延びるため、新しい回号となる。表面利率( クーポン)は前回債と横ばいの0.1%か、0.2%となる見込み。発行予定 額は前回債と同額の2兆5000億円程度となる。

18日には40年利付国債の利回り競争入札が行われる。前回4月に入 札された8回債のリオープン発行となり、クーポンは1.4%に据え置か れる見込み。発行予定額は前回債と同額の4000億円程度となる。

市場参加者の今週の先物中心限月と新発10年物国債利回りの予想レ ンジは以下の通り。

◎JPモルガン証券の山脇貴史チーフ債券ストラテジスト

先物9月物146円10銭-146円80銭

10年国債利回り=0.45%-0.52%

「先週はドイツ10年物国債利回り1%程度、米国債が2.5%程度 と、海外金利がいったんピークを打ったという安心感が出て買いが優勢 となった。入札イベントを通過して、海外市場もひと段落したので、ひ と山越えた感じ。ただ、FOMCや40年債入札を控えている。FOMC では9月の米利上げがあるかなしかに関してヒントが出てくるかに注目 している。日銀金融政策決定会合では何も出てこないとみている」

◎パインブリッジ・インベストメンツ債券運用部の松川忠部長

先物9月物146円00銭-146円75銭

10年国債利回り=0.45%-0.52%

「6月後半に金利が低下しやすい過去の傾向も踏まえると、投資家 の間で徐々に買い安心感が広がりそう。新年度入り後の4月の金利低下 時に無理をしなかったことで、足元の金利上昇局面での買い余力は十 分。海外の長期金利も米国の2.5%、ドイツの1.0%はそろそろピーク か。 米国債は最近の利回りフラット化で、9月の利上げ開始を相応に 織り込んだもよう。ドイツ市場は2年前の日本の金利上昇と酷似、当時 の経験則だと利回り1.0%到達後しばらく0.8-0.9%で推移か」

◎マスミューチュアル生命保険運用戦略部の嶋村哲金利統括グループ長

先物9月物145円80銭-147円20銭

10年国債利回り=0.40%-0.55%

「引き続き欧米債券市場動向に振らされる相場展開か。足元の相場 はドイツ国債の乱高下がけん引していたと考えているが、そのドイツ国 債市場も底打ちの兆しが出て、月末に向けて徐々に安定していきそう だ。国内債も、月末に向けて徐々に落ち着きを取り戻すとみられる。リ スクはFOMCを受けた金利上昇が米国で起こった場合、そのあおりを 受けて円債利回りも上昇する可能性。ドイツ国債利回りも日本の過去の 経験則に照らすと、まだ乱高下する可能性は残されており、警戒は必要 だろう」

--取材協力:赤間信行、池田祐美、酒井大輔 Editors: 崎浜秀磨, 山 中英典

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