黒田総裁発言で円安けん制に警戒感、対ドル125円をフロアとして意識

日本銀行の黒田東彦総裁の発言をきっかけ に、市場では日本の当局が13年ぶりの水準まで進んだ円安を抑制しよう としているとの見方が浸透しつつある。

黒田総裁は10日の衆院財務金融委員会で、「実質実効為替レートが ここまで来ているということは、ここからさらに実質実効為替レートが 円安に振れていくということは普通考えるとなかなかありそうにない」 と発言した。これをきっかけに前週末に一時1ドル=125円86銭と2002 年6月以来の水準にまで円安が進んでいたドル・円相場は122円46銭ま で円高に振れた。

クレディ・アグリコル銀行外国為替部の斎藤裕司エグゼクティブ・ ディレクターは、黒田総裁は円安進行のスピード調整を狙った感がある とした上で、「市場は明確なけん制と受け止めた」と指摘。円の対ドル の下値として125円が意識されやすくなっているとみる。

円安は日銀が掲げる2%の物価上昇率目標達成に追い風となる上、 国内大手輸出企業の業績浮揚につながる。一方で、原材料やエネルギー を輸入に頼る中小企業にとっては痛手だ。帝国データバンクによると、 5月の「円安関連倒産」は17カ月連続で増加した。

国際協力銀行(JBIC)の渡辺博史総裁 (元財務官)は9日の ブルームバーグとのインタビューで、円安が日本経済に与える影響につ いて「原油安が続く限り、120 -125円は中小企業にとっても許容の範 囲内だ」と指摘。足元の水準は「米国の金融政策の変更を織り込んでお り、130円台まではいかない」と予想した上で、米国が利上げに踏み切 った場合でも、「1-2円程度の円安にとどまる」と述べた。

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