篠原氏:円安進むもファンダメンタルズから大きく乖離せず

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元財務官の篠原尚之氏は円安水準で推移して いる為替相場の動向について、実質実効為替レートでみると経済のファ ンダメンタルズから乖離(かいり)していないとの見解を示した。その 上で、市場が米国の利上げを既に織り込んでいることからドル高・円安 がさらに進む可能性は低いと語った。

今年2月に国際通貨基金(IMF)の副専務理事を退任した篠原氏 は「実質実効レートからみて円が安くなっているのは事実だ」としなが らも、「中長期的な観点からみて大きくファンダメンタルズから離れて いるとは思わない」と述べた。

また、「金融政策面で米国がいずれ引き締め、日銀が当分、緩和を 続けることは市場も織り込み済みだ。当然、円安方向に進むが、さらな る円安を招くとは思えない」との見解を示した。

足元、為替相場はイエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長が 先月末に年内利上げの可能性を示唆して以降、一時1ドル=125円台後 半と13年ぶりの安値を付けるなど、円安が急速に進んだ。これに対し、 篠原氏は「今の相場は米国の経済指標やFRB関係者の発言を受けてか なり急な動きを示している」との認識を示した。

一方で、「120円が125円、130円となっても大きく差があるとは思 えない。その水準ごとにプラス・マイナスがあるが、急激に円安が進む のは良くない。スピードの問題だ」と語った。

篠原氏は、日本銀行の黒田東彦総裁が10日の国会答弁で実質実効レ ートでは「さらに円安はありそうにない」との見解を示した発言に関し てはコメントを控えた。一方で、一時122円台まで円が買われた市場の 反応について「円安の動きが速いと多くの人が感じ、ポジションを巻き 戻した人がいたのではないか」とみている。

また、日銀が掲げる2年で2%の物価目標については「ここ5年ぐ らいの期間で2%を達成することはあり得ない。1.5%以上はいかな い」と予想。生産性を上げて新規の設備投資を増やすなど、実体経済を 持続的な成長に乗せる必要性を指摘した。

さらに「金融政策だけで持続可能な経済成長を達成するのは無理 だ。今の金融政策には相当過剰な負担が掛かっている」と述べ、政府に よる成長戦略の実現や財政健全化の重要性を挙げた。追加緩和の可能性 については「今は特に必要ない」と述べるにとどめた。

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