東京海上HD:米HCC買収へ、総額9400億円-保険業界で最大

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東京海上ホールディングス(HD)は、米 HCCインシュアランス・ホールディングスを買収すると発表した。買 収額は約75億3000万ドル(約9413億円)で、保険業界の外国企業買収と しては過去最大規模。海外保険事業の規模や収益の一段の拡大、地域や 事業リスクの分散が狙い。

発表文によると、東京海上HDは発行済みのHCC株を全て買い取 ることで、HCCと合意した。買い取り価格は1株当たり78ドル (約9750円)と、過去1カ月の平均株価に対し35.8%高い水準となって いる。東京海上日動が米国に特別目的会社(SPC)を設立し、HCC 社と合併させる。年内に買収手続きを完了させる。

HCCは米国のほか、英国やスペインなどで事業展開する保険グル ープ。医療・傷害保険のほか、会社役員賠償責任保険、農業保険などの 分野に強く、東京海上HDの永野毅社長は10日の記者会見で、「海外事 業の規模や収益の拡大のほか、事業ポートフォリオの分散が可能にな る」と、買収の利点を述べた。

東京海上HDの株価は11日、一時前日比2.4%高となったが、22円 (0.5%)安の4883円で取引を終えた。野村証券の大塚亘アナリスト は、米社買収についてグローバルに伍する保険会社となるための布石」 と指摘。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の石井祐貴アナリストは 「HCCは極めて優良なスペシャリティファーム。中長期的には東京海 上グループの資本効率改善に寄与する可能性が高い」と評価している。

東京海上HDはこれまで英キルン社や米フィラデルフィア社、デル ファイ社を買収したほか、東南アジアや中南米で生損保事業を展開して きた。今回のHCC買収により、世界最大の保険市場である米国での事 業を一段と強化。東京海上HDグループの利益に占める海外保険事業の 割合は46%と、従来の38%から上昇する。

買収価格

永野社長は、買収価格について「経営の支配権を全部握るわけなの で、それが今の市場価格に対しての1.35倍くらい」と説明。「これ自体 は決して同じような買収の事例と比べても突出して高いわけではないと 考えている」との認識を示した。

買収資金については、手元資金のほか、一部外部調達も予定してい ることを明らかにしたが、「エクイティファイナンスの予定はない」と 述べた。同社の3月末時点の現・預金は5366億円。

今回の発表を受けて、スタンダード&プアーズ・レーティングズ・ サービシズ(S&P)は同日、東京海上HD傘下の東京海上日動火災保 険などの保険財務力格付けを「AA-」に据え置くと発表した。同グル ープの事業の地理的分散と収益源の多様化が一層進展し、自己資本への マイナスの影響は現格付けで許容できる範囲にとどまると見ている。

少子高齢化が進む中、日本の保険業界は成長機会を求めて、海外進 出が活発化しており、ブルームバーグ・データによると、過去5年の保 険業界の買収額は計275億ドルに上る。今回のHCC買収は、昨年の第 一生命保険による米プロテクティブ買収(55億ドル)を上回り、日本の 保険業界の海外買収としては最大の規模となる。

日本損害保険協会の桜田謙悟会長(損保ジャパン日本興亜ホールデ ィングス社長)は11日の定例記者会見で、人口減の流れの中で「成長を なすため日本以外に出ていくのは当然であり、東京海上の選択は正し い」と述べ、損保ジャパンとしても「何のためにやるのか確認しなが ら、われわれももたつかずにやっていきたい」との考えを示した。

--取材協力:Finbarr Flynn.

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