日本企業のROE、期待反し14年度低下-増益率鈍化と資産増

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2014年度の日本企業の株主資本利益率( ROE)が前年度に比べ低下した。コーポレートガバナンス(企業統 治)の強化に向け官民の取り組みが進んでおり、投資家の間でも指標改 善への期待は高まっていたが、実際の足取りは鈍かった。

ブルームバーグ・データによると、東証1部上場企業の14年度(15 年3月末)のROEは8.15%と13年度の8.56%から低下した。13年度 は、利益の増加に伴い2.72ポイントの大幅な改善となっていた。低下 は11年度以来となる。企業の総資産は、14年3月末から15年3月末まで に10%増えた。

BNPパリバインベストメント・パートナーズの清川鉉徳運用本部 長は、「日本企業の前期ROEの成績表は真ん中ぐらいの結果。悪くは ないが、すごく良くはない」と言う。現状の傾向が2-3期続く場合、 企業側は投資家を説得する必要があり、「企業と投資家はROEを共通 言語にしようとしているため、本当にこれで良いのか、企業はこの結果 を見て考えなければならない」としている。

日本のROEは05年度に10%台を記録した後、リーマン・ショック の影響を受けた08年度にマイナスに転じた。直近では、11年度の4.58% をボトムに13年度まで2年連続で改善していた。

政府が13年6月にまとめた日本再興戦略では、成長戦略にコーポレ ートガバナンスに関する施策が盛り込まれ、14年1月からROEを重視 するJPX日経インデックス400の算出が始まった。同2月に日本版ス チュワードシップ・コードが策定され、ことし6月からコーポレートガ バナンス・コードが東京証券取引所の上場規則に適用されている。

上がりにくい環境

メリルリンチ日本証券の分析によると、14年度のROEが低下した 要因は、分子である当期利益の伸び率に対し、分母である自己資本の伸 び率が上回ったためだ。

阿部健児株式ストラテジストは、「リーマン・ショック後の弱いと ころから上がってくるときと、過去最高から拡大するときでは利益成長 率が低くなるのは避けられない」と指摘。一方で、「利益水準が大きい ため、内部留保がどうしても大きくなり、円安と株高で評価益も出て、 必然的にROEが上がりにくくなる」と話す。

日本企業のガバナンス改革について「13年度に大事な政策が始ま り、それを受けて14年度から企業が動き出した」と振り返る阿部氏は、 利益が高い水準にあるため、今後しばらくはROEが伸びにくくなるの は仕方がないとみている。同氏のシミュレーションでは、利益成長 率10%で総還元性向60%まで上がっても、ROEは10%にならない。

阿部氏は、こうした環境は必ずしも投資家の間で認識されていない とし、「外国人投資家は特に4-5月、日本のガバナンス改革を信じて 買った。多くの人はROEがどんどん上がると考えていたため、ネガテ ィブサプライズ的に捉えられる」リスクに言及した。

一方、富国生命保険の山田一郎株式部長は、日本企業のROEの低 下について「上がっているかと思っていたが、意外だった」としながら も、「株価はPERで決まるため、1株利益が伸びている中でのROE 低下は構わない」とみている。

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