円がほぼ全面安、黒田総裁発言受けた急速な円高に修正圧力

更新日時

東京外国為替市場では、円がほぼ全面安の展 開。日本銀行の黒田東彦総裁の発言を受けた前日の急速な円高進行に修 正の動きが入った。

11日午後3時45分現在のドル・円相場は1ドル=123円20銭付近。 円は朝方に付けた122円63銭を上値に、午後には123円34銭まで水準を切 り下げた。円は主要16通貨のうち、政策金利が引き下げられたニュージ ーランド・ドルを除く15通貨に対して下落している。前日には一時122 円46銭と5月26日以来の水準までドル安・円高が進んだ。

マネースクウェア・ジャパン市場調査部の山岸永幸シニアアナリス トは、「黒田総裁の発言の真意については釈然としない面が残る」と言 い、政府からの釈明もあり、前日の大幅な円上昇が修正される格好にな っていると説明。また、ドル・円相場はテクニカル的に21日移動平均線 が122円台後半、週足の一目均衡表の転換線が122円台前半に位置してお り、122円台ではサポートされやすいとも言う。

黒田総裁は10日午後の衆院財務金融委員会で、「実質実効為替レー トで見ると、今はかなりの円安の水準になっていることは事実」と指 摘。その上で、「一般的、理論的に申し上げると、実質実効為替レート がここまで来ているということは、ここからさらに実質実効為替レート が円安に振れていくということは普通考えるとなかなかありそうにな い」と述べた。

甘利明経済再生相は10日の経済財政諮問会議後の会見で、黒田総裁 の発言について、「趣旨が若干曲解されて市場に伝わってしまったみた いなお話だったと思います」と述べた。

三菱東京UFJ銀行の野本尚宏調査役(ニューヨーク在勤)は、 「円安のスピードが速過ぎたら、輸出企業にとってはいいのだろうが、 輸入企業はついていけない」とし、「円安を警戒というか、スピードが 問題」だとしている。

今月5日には一時125円86銭と、2002年6月13日以来の水準までド ル高・円安が進んでいた。

米小売売上高見極め

この日の米国時間には5月の小売売上高が発表される。ブルームバ ーグがまとめた市場予想の中央値では、前月比で1.2%増と、横ばいだ った前月から伸びが加速すると見込まれている。

みずほ証券の鈴木健吾チーフFXストラテジストは、今週は米小売 売上高が最大の材料だとし、「雇用がしっかりして、消費も伸びている ということになると、物価見通しの明るさにつながる」と説明。日本と の金融政策の違いから、「中長期的にドルの先高観は根強い」とし、前 日のドル安・円高進行で目先は「絶好の押し目買いのチャンス」とみ る。

一方、ニュージーランド準備銀行(中央銀行)は11日の金融政策決 定会合で、政策金利であるオフィシャル・キャッシュ・レートを従来 の3.5%から3.25%に引き下げた。利下げは4年ぶり。同中銀は成長が 鈍化する中でインフレ押し上げのため、追加利下げが適正になり得ると 表明した。

NZドルは対米ドルで一時1NZドル=0.6998ドルと、10年9月以 来の水準まで急落。対円では一時1NZドル=86円05銭と、2月4日以 来の安値を付けている。

--取材協力:大塚美佳.

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE