「神の資産」の金溶かし、貿易赤字縮小目指す-印首相が計画

バルビル・シン・ウッパル氏にとって、ヒン ズー教のベンカテーシュワラ神に捧げた金を溶かし、インドの貿易赤字 縮小に利用することは冒とく行為だ。だが、一部のバンカーにはその気 持ちは分からない。

「金は神の資産と考えられており、それを冒す権利は誰にもな い」。コメ・小麦加工会社ラクシュミ・エナジー・アンド・フーズの創 業者であるウッパル氏(60)はそう語る。

ウッパル氏は2007年、孫息子の誕生に感謝し、インドで最も参拝者 の多いアンドラプラデシュ州にあるスリ・ベンカテスワラ寺院に金製品 を寄付した。石油ランプやスプーン、水浴び用の容器などだ。総重量は 当時の孫息子と同じ15キログラムで、価値は約1500万ルピー(現在のレ ートで約3000万円)だった。

インドでは金は日常生活の中心にあり、婚礼や祭礼、モンスーンに 関連する季節的需要が世界の金価格を動かすこともある。モディ首相は 旺盛な金輸入需要を抑制するため、数千カ所の寺院や数百万世帯で利用 されていない金を現金を支払って借りようとしている。この政策は若干 の経済的意味はあるが、宗教的・文化的歴史を考えると難しいとUBS グループは指摘する。

国内にほとんど金山がないインドは、13年に中国に抜かれるまで世 界最大の金輸入国だった。景気拡大で所得が増え金輸入が急増する一 方、貿易赤字は同年に過去最高に達し、通貨ルピーは過去最安値に下落 した。同国政府は、寺院や家庭の引き出しの中に計約2万トンの金が眠 っていると主張する。これは、米国の金保有量である8133.5トンの2倍 超に相当する。

国内供給

モディ首相は、金をより多く流通させることによって国内供給を増 やすことを目指している。それを実現するためには、国民が保有してい る金は、宗教的意味を持つ物や家族の貴重な所有物というよりコモディ ティの一つにすぎないと納得させる必要がある。同首相の計画では、こ れらの金は純度を確かめ均一化した上で銀行が再販売できるよう全て溶 かすことになっている。

銀行はインセンティブとして金を利用する権利に対して利息を支払 い、その後、代わりの金を戻すか金の価値に相当する現金を支払う見通 しだ。

同様のプログラムは他国でも実施されている。世界4位の金輸入国 であるトルコは11年に、銀行が預金準備の一部を金で預け入れることを 認めた。クレディ・スイス・グループはこのプログラムについて、資金 調達コストが低下し金融の安定につながったと説明している。

原題:Trading God’s Gift for Cash Is Modi Plan to Wean India Off Gold(抜粋)

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