米利上げめぐる債券市場のチキンレース、危険度は過去最高

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米連邦準備制度が年内の利上げにかなり本気 なら、ウォール街はなぜ債券利回り予想を下方修正しているか。

世界の債券市場で1兆2000億ドル(約150兆円)の価値を消滅させ た最近の急落を懸念する声があちこちで聞かれるものの、債券市場の精 鋭たちが示す年末の米国債利回り予想は過去5カ月で4カ月低下した。

これは危険なチキンレースを意味する。先週の予想を上回る雇用統 計の発表後も多くのアナリストや投資家は、金融当局が経済に与えかね ない打撃を理由に性急な利上げを避けると予想している。一方で世界の 債券保有者にとってリスクはかつてない程の水準に上昇している。

バークレイズが追跡している50兆ドルの債券のデュレーションの水 準を基にすると、債券保有者が損失に見舞われる可能性は過去最高に達 している。ブルームバーグの集計データでは、米10年債利回りが年末ま でに3%に上昇した場合、現在保有する投資家は3.6%の損失に直面す ることが示されている。

FTNファイナンシャルのチーフエコノミスト、クリス・ロー氏 は、状況は必ず落ち着くはずであり、そのときには米国は再びファンダ メンタルズで取引されるとの見方を示した。ロー氏は昨年の米国債相場 の上昇を的確に予測した1人。同氏は年末の米10年債利回り予想 を2.5%から2.1%に下方修正した。5日は2.41%で終了。

ブルームバーグが集計したウォール街の予想中央値は昨年12月時点 で3.01%だったが、今年は一貫して低下し2.5%となっている。こうし た予想が度を越えたものとなり、債券相場の30年余りにわたる強気相場 がついに終わるのかという疑問が浮上し始めればリスクになる。

厳しい状況

欧州でデフレ懸念が後退し、米経済指標は労働市場の回復が示した 中、世界の債券相場は過去1カ月に大幅下落し、利回りは過去最低水準 から急上昇している。米10年債利回りは4月以降、0.5ポイント上昇し た。先週発表された5月の雇用統計では、雇用者数が大幅に増加、賃金 も2013年8月以来最大の伸びとなり、米当局の利上げの論拠が裏付けら れた。

イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長は5月に、経済が自 身の予想通りとなれば年内に利上げする見通しを示しており、利上げ後 の利回り急騰の可能性も警告している。

ユナイテッド・ネーションズ・フェデラル・クレジット・ユニオン (ニューヨーク)の最高投資責任者(CIO)、クリストファー・サリ バン氏は、経済指標は「イエレン議長が示唆してきた内容を裏付けてい る」と述べ、「債券相場は今後さらに厳しい状況に置かれる恐れがあ る」と予想した。

世界経済の中で米経済の明るさに疑問の余地はほとんどないとはい え、このところの景気の減速が悪天候の結果だけにとどまらないとの懸 念は根強い。これは当局が利上げの時期と幅に関して引き続き辛抱強く なる余地があることを示していると、ノーザン・トラストの短期債責任 者ピーター・イー氏は指摘する。

原題:Bond-Market Game of Chicken With Fed Is Riskier Than Ever (1)(抜粋)

--取材協力:Lu Wang.

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