エルニーニョ現象の影響、アジアで食料上昇への懸念高まる

マレーシアでパーム油業界に35年にわたって 携わるリン・アーホン氏は、エルニーニョ現象がかつて、アジアの食料 価格に深刻な影響を及ぼしたことをよく覚えている。

1997年のある日、リン氏がヤシの木の状態を調べていると、足元が 極めて乾燥し、葉が開いていないことに気付いた。「所々で火災が起 き、乾燥した葉をたくさん付けた天然ゴムやカカオなどの木々が焼け た。干ばつがひどくなった際には、大型の貯水施設のない一部のパーム 油処理工場は水不足に陥った」と、リン氏(63)は振り返る。

その結果、マレーシア全域と隣国のインドネシアでパーム油生産が 落ち込み、その影響で食料価格が上昇。マレーシアではインフレ率が98 年に2ポイント余り上昇し、8年ぶりの高水準に達した。

エルニーニョ現象が5年ぶりに発生すると気候学者らが警鐘を鳴ら す中、アジアの農家と政策立案者らは長期の干ばつと農作物への被害に 備えている。農作物の不作はパーム油やコメなどあらゆる食料の価格上 昇につながる可能性がある。

米利上げ開始が予想され、景気拡大の鈍化に直面しているアジア各 国・地域の中央銀行にとって、エルニーニョ現象に関連する見通しは新 たな課題だ。韓国やインドなどの国々では、インフレ率が低水準にある ため成長率押し上げに向けた借り入りコストの引き下げが可能だった。 その選択肢が失われつつある。

原題:El Nino’s Return Raises Specter of Food Inflation Spike in Asia(抜粋)

--取材協力:Ranjeetha Pakiam、Phoebe Sedgman.

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE