【今週の債券】長期金利は上昇余地探る、米欧金利に振らされる展開

今週の債券市場で長期金利は上昇余地を探る と予想されている。米国の10年国債利回りが市場予想を上回る内容とな った雇用統計を受けて8カ月ぶり高水準を付けたほか、ドイツ国債利回 りも上昇。米欧金利につられて国内金利にも売り圧力が掛かるとの見方 が背景にある。

長期金利の指標となる新発10年物国債利回りについて、ブルームバ ーグ・ニュースが前週末に市場参加者3人から聞いた今週の予想レンジ は、全体で0.43-0.575%となった。前週は欧州や米国の債券相場の大 幅下落を受けて売りが優勢の展開となり、4日には一時0.505%と昨 年11月以来の水準まで上昇した。

マスミューチュアル生命保険運用戦略部の嶋村哲金利統括グループ 長は、今週の債券相場について、「米雇用統計発表後の米国やドイツの 国債利回りに円債も振らされる見込み」と話した。

前週末に発表された5月の米雇用統計で、非農業部門雇用者数が前 月比28万人増と予想を上回り、賃金の伸びは加速。9月の米利上げの可 能性が高まり、米10年債利回りは2.43%と昨年10月以来の水準まで達し た。ドイツ国債利回りは0.8%台半ばに上昇して前週の取引を終えた。

9月FOMCまで時間

野村証券の松沢中チーフストラテジストは、「先週に入り理事を中 心に米連邦準備制度理事会(FRB)の高官はハト派的なメッセージを 送り始めている。米国で今利上げ織り込みが進めば、不安定な欧州債市 場に火に油を注ぎ、結果的に自身の利上げが遅れるのを避ける配慮かも 知れない」と指摘。「そもそも彼らが念頭に置いているであろう9月の 連邦公開市場委員会(FOMC)までまだ時間がある」と言う。

財務省は11日に20年利付国債の価格競争入札を実施する。償還日が 前回入札の152回債から3カ月延びるため、新しい回号となる。表面利 率(クーポン)は前回債より0.1ポイント高い1.3%となる見込み。発行 予定額は前回債と同額の1兆2000億円程度となる。

野村証の松沢氏は、「日本で20年債入札が行われる11日には、米国 で30年債入札がある。FRBの買い入れ減額により需給が悪化している ため市場の警戒心も強い」と指摘。ただ、「日本の需給環境は米欧に比 べ安定しており、需給プレミアム拡大を見込むのはあまり現実的ではな いだろう」と言う。

9日には投資家需要の強い既発国債を追加発行する流動性供給入札 が予定されている。今回の対象銘柄は残存期間15.5年超から39年未満。 発行予定額は3000億円程度となる。

市場参加者の今週の先物中心限月と新発10年物国債利回りの予想レ ンジは以下の通り。

◎JPモルガン証券の山脇貴史チーフ債券ストラテジスト

先物9月物146円20銭-147円20銭

10年国債利回り=0.43%-0.53%

「FRBによる年内の利上げの可能性を計る上で重要な米雇用統計 を受けて、週初から値が飛びやすい状態になるとみられる。11日に実施 される20年債入札は、米雇用統計後の相場展開に依存するところは大き いが、入札前の調整が十分に進んだ場合には、無難に収まる可能性があ るだろう。ただ、不透明感から入札に向けた準備が進みづらくなった場 合には、入札に対する警戒も高まりそうだ」

◎三井住友アセットマネジメントの深代潤債券運用グループヘッド

先物9月物146円20銭-147円10銭

10年国債利回り=0.44%-0.53%

「欧米市場の金利上昇を警戒しつつも、一定レベルでは着実に買わ れる展開が続きそう。欧州中央銀行(ECB)の量的緩和継続で落ち着 きどころを探る。円債市場は欧米の金利上昇に連動しつつも、少なくと も投資家は積極的には売っておらず、10年債利回りは引き続き0.5%台 は買い方向だとみている。20年債入札は、利回り1.3%に近い水準での 入札なら波乱なし」

◎マスミューチュアル生命保険運用戦略部の嶋村哲金利統括グループ長

先物9月物146円00銭-147円15銭

10年国債利回り=0.43%-0.575%

「海外金利の動向をにらんだ展開が続くとみている。20年債入札は 無難通過となるのではないか。利回り水準が1.3%台で入札を迎えると 悪い結果にはならず、順調に消化されるだろう。しかし、1.2%台の水 準ならやや下値不安が残る感じ。1-3月期の実質国内総生産 (GDP)改定値では、設備投資の動向を見極める感じだが、相場への 影響はなさそう」

--取材協力:赤間信行、池田祐美、酒井大輔 Editors: 崎浜秀磨, 山 中英典

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