【日本株週間展望】堅調、良好需給と景況感支え-SQは注意

6月2週(8-12日)の日経平均株価は、2 万円台半ばで堅調に推移しそうだ。国内景況感の改善を背景に海外投資 家の買い姿勢が継続、下値には日本銀行による指数連動型上場投資信託 (ETF)の買いも入り、個人投資家などの売りを吸収している。た だ、歴史的な連騰後で上値は限定される可能性が高い。

仏運用会社のコムジェストの日本株ポートフォリオ・マネジャー、 リチャード・ケイ氏は「日本は1株利益の上方修正が最も多い市場で、 個別銘柄ベースでも為替をはじめ、保守的にみている企業が少なくな い」と指摘。景気や金利動向に不透明感のある米国、欧州と比べても 「日本は魅力的な先進国」とし、グローバル株式ファンドでの日本株ウ エートは30%とオーバーウエートの状態を保つ。

第1週の日経平均は、週間で0.5%安の2万460円90銭と4週ぶりに 反落。週初1日まで12日続伸し、1988年2月の13連騰や61年1月の14連 騰に迫ったが、一部テクニカル指標からみた過熱感、不透明なギリシャ 情勢や再び上昇傾向にある欧米長期金利の動向が懸念され、最長記録更 新には至らなかった。

もっとも、5月2-4週にかけての上昇率6.1%に比べると、調整 は小幅。海外投資家による買い意欲の強さが相場の底堅さにつながって いる。日本取引所グループによると、海外勢は5月4週に日本株を現物 で3971億円、先物で3088億円買い越した。現物株の買い越しは4週連 続。対照的に、日経平均がITバブル期以来の高値圏にある中で個人投 資家は4週連続の売り越しだった。

ブルームバーグ・データによると、東証1部銘柄の向こう12カ月の 1株利益は17%増の見通し。量的金融緩和で景気を刺激中のストックス 欧州600指数の39%増には及ばないが、米S&P500種株価指数の7.1% 増は上回る。日米でみた場合、12年半ぶりに一時1ドル=125円に乗せ たドル高・円安は日本のグローバル企業にプラス、米国ではマイナスに 働く。一方、ことしの予想PERは日本が16.1倍と米国の17.7倍、欧州 の16.7倍よりなお低い。

アクティブ資金に流入余地

三菱UFJモルガン・スタンレー証券のチーフストラテジスト、芳 賀沼千里氏はPERやPBRなどバリュー系指標が1-3月期に機能せ ず、逆に4-5月は高いリターンを上げたと分析。医薬品などディフェ ンシブ業種が強かった1-3月は、最小分散投資など低リスク型ファン ドから資金が流入した半面、4-5月は業績見通しやバリュエーション 重視のアクティブ運用資金の流入を指摘した。今後も、米国の利上げタ イミングをにらみ、「世界的に株式市場の方向感が出にくいため、個別 銘柄を重視する海外投資家が日本株買いの中心」と読む。

グローバル投資家がベンチマークとし、北米を除く先進国を対象と したMSCI・EAFE指数の日本株ウエートは22.1%。ゴールドマ ン・サックス証券の調べでは、3月時点で北米投資家の日本株の組み入 れ比率は平均で15.9%にとどまっていた。為替のドル高・円安を踏まえ ても、日本株が欧米株をアウトパフォームしている現在、ベンチマーク に追随するため、北米勢による日本株買いの余地は残されている。

主要国株価指数の4月から今月4日までのドル建てパフォーマンス は、TOPIXがプラス4.8%、日経平均がプラス3%。中国上海総合 指数はプラス32%と群を抜くが、米S&P500のプラス1.4%、独DAX のマイナス0.8%は日本を下回る。第2週は、国内で8日に5月の景気 ウオッチャー調査、10日に4月の機械受注、11日に4-6月期の法人企 業景気予測調査が公表予定。消費税増税の影響が消えた4月以降の統計 が改善すれば、日本のファンダメンタルズ評価の流れは続く。

メジャーSQ、下値は日銀買い

一方、大和証券投資戦略部の木野内栄治チーフテクニカルアナリス トは、「欧米企業の中間期末である6月は例年、機関投資家を中心にポ ジション整理が出やすい時期」と警戒している。12日は日本の株価指数 先物とオプション6月限の特別清算値算出が重なるメジャーSQでもあ り、短期的な先物需給の振れが波乱要因になる可能性はある。

韓国で中東呼吸器症候群(MERS)コロナウイルスの感染が拡大 し、出入国者を介し周辺地域へ感染が広がるリスクも警戒要因だ。韓国 保健福祉省によると、既に4人が死亡、感染者は5日時点で41人。第1 週の日本株市場では日本バイリーン、興研などマスク関連、クリーンル ームの日本エアーテック、防護服のアゼアスなど材料銘柄が急騰した。 旅行者への影響が懸念される空運株、インバウンド消費関連株の下落圧 力は限られているが、市場参加者の間で不安心理が強まれば、相場全般 への悪影響は免れない。

ただ、下値では着実に日銀のETF買いが入り、株価指数を下支え する見込みだ。日銀は昨年10月末の追加金融緩和策で、ETFは年間約 3兆円に相当するペースで増加するよう買い入れを行う、とした。こと しの購入額は1兆3037億円。買いが確認された6月1日と3日は、日経 平均の日中下落率が0.7%だった。残額は1兆7000億円程度ある。

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