【コラム】IMFが米金融当局に異例の「助言」-エラリアン

それは異例の「助言」だった。国際 通貨基金(IMF)は4日、米金融当局に来年前半まで利上げを見送る よう呼び掛け、それは当然のごとく大きく報じられ、金融市場にも響い た。

IMF最大の出資国で世界第1の経済大国、基軸通貨ドルの発行国 である米国の政策について、IMFがこれほど明確かつ具体的にコメン トした例は珍しく、波紋は今後も続くだろう。

今回の出来事に関して4つ留意すべき点がある。まず、助言の内容 自体は議論を呼ぶものであっても、対米年次経済審査の報告書という通 常のチャンネルを通じて伝えられたことだ。

2番目にIMFのコメントは多くの面で異例だが、非常に不透明な 米経済統計にもかかわらず、利上げ開始という極めて敏感な政策措置を めぐって具体的な時期に言及している部分が特筆すべきところだ。

米金融当局が場合によっては、短期的に2%の目標を上回るインフ レ率を容認しても問題ないと示唆している点も注目される。

第3に金融市場が最初の利上げのタイミングに執着することがない よう、米金融当局者が一丸となって取り組んでいる中、IMFがそれに 反して時期の問題を真っ向から取り上げたことで、結果的に相場の大き な変動を招くこととなった。

動機

最後にIMFの動機は次の3つの要因で説明できそうだ。最初に挙 げられるのは、ほぼ全ての国々が加盟する国際金融機関の役割りに合致 する形で、米金融当局の政策論議に国際的な知見を加えたいと望んだ可 能性だ。これには米国発の金利ショックの荒波にさらされるには、世界 経済があまりにも脆弱(ぜいじゃく)であることも含まれる。

また、ギリシャ問題で欧州連合(EU)に比較的厳しい姿勢で臨ん だ手前、これまで政治的な目的のためにIMFを過度と言えるほど利用 してきた主要出資国にはっきりものを言う姿勢を印象付けたいのかもし れない。

広く支持を集めているIMFの議決権改革をめぐり米議会が行動を 起こさずにいる中で、IMFとして全ての加盟国に対して率直な姿勢で 対応し得ることを強く示したかった可能性もある。

5月の米雇用統計を含め、新たな米経済指標が今後発表されるにつ れて、IMFの米国への「助言」の影響は市場でも間違いなく薄れてい くだろう。

だが、自国の政策上の問題にIMFがこれほど公然と発言する姿に 慣れていない西側諸国の当局者の記憶には、新鮮なエピソードとして今 後も残る公算が大きい。(モハメド・エラリアン)

(モハメド・エラリアン氏は、ブルームバーグ・ビューのコラムニ ストです。このコラムの内容は同氏自身の見解です)

原題:The IMF’s Unusual Rate Advice for the Fed: Mohamed A. El-Erian(抜粋)

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