「6月は金利低下」の経験則働かず、円安や入札ラッシュで国債に逆風

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過去の日本の国債市場では6月に金利が低下 することが多かったが、市場関係者は過去の経験則は働かないとみてい る。日本銀行の巨額国債買い入れは続いているものの、入札による債券 供給が例年より多いことや海外金利の上昇などが相場の逆風になると言 う。

財務省は2015年度、40年債入札を初めて6月に実施する。昨年まで は入札時期が7年連続で5月だったが、回数の増加に伴い変更した。長 期金利の指標となる新発10年物国債利回りは過去10年間で6月に7回低 下したが、今年は上昇して始まっている。

例年の6月は、生命保険会社や年金基金などが四半期末に向けて運 用残高の積み上げと残存期間の長期化を進めるため、国債の需給が引き 締まりやすい。しかし、今年は普段より多い入札で需給はむしろ緩みや すくなっている。入札は2日の10年物の後、4日の30年物、11日の20年 物、18日には年5回しかない40年物と続く。長期・超長期ゾーンの募集 額は約半月で合計4.8兆円に上る。

みずほ証券の丹治倫敦シニア債券ストラテジストは「今年は40年債 も加わり、6月前半に長い年限の入札が過密状態になる」と指摘。「金 利リスク量で見た場合の供給量は多くなる。少なくとも月前半は金利低 下圧力がかかりにくい」と言う。足元では「大きく割高・割安という感 じではない」が、海外金利の動向や円安を考慮すると「どちらかという と金利上昇リスクの方が大きい」とみている。

10年債利回りは1月に0.195%と過去最低を記録した。その後は、 3月に0.47%と2倍超に上昇。5月は2度にわたって同水準を付け、そ の後も0.4%台前半で推移している。ブルームバーグが集計したアナリ ストの利回り予想によると、来年半ばには0.60%に上昇すると見込まれ ている。

今週がヤマか

政府は15年度の国債発行総額を170兆円と前年度当初予算より11.5 兆円削減。入札を通じた市中発行額は同2.5兆円少ない152.6兆円とした 。ただ、歴史的な低金利下で発行平均年限を延ばすため、30年債は1.6 兆円増の9.6兆円、40年債は0.4兆円増の2兆円とそれぞれ増発する。10 年債と20年債は据え置き、2年債と5年債は合計4.8兆円減らす。

一方、2%の物価目標を目指す日銀は、マネタリーベースを積み増 す「量的・質的金融緩和」の昨年10月末の追加緩和で、長期国債買い入 れを月8兆-12兆円に増額する方針を示した。これを年換算すると、政 府の15年度市中発行額に対し、最大9割超にも及ぶ額になる。

日銀によると、オペ(公開市場操作)で金融機関から買い入れる国 債の額は、残存期間25年超が1回当たり1400億円と追加緩和直前の4倍 。10年超25年以下も2.2倍の2400億円に拡大。5-10年は横ばいの4000 億円で、3-5年は33%多い4000億円、1-3年は3750億円と7.1%増 えた。

それでも、残存25年超の買い入れ額は30年債と40年債の発行額の7 割程度にとどまり、民間需要に相場が左右される度合いが大きい。10年 超25年以下と5年超10年以下は同20年債と10年債のほぼ全額に相当。3 年超5年以下と1年超3年以下は同5年債と2年債の9割強だ。

SMBC日興証券の竹山聡一金利ストラテジストは「入札による金 利リスク量の供給と日銀オペでの吸収は、10年債と30年債の入札が集中 する今週がヤマだ」とみる。10年債は「今回から新銘柄となるため、オ ペの対象になるまで一定の時間がかかる。それまでポジションを持ち続 けることへのプレミアムを求められる」と説明。昨日の入札も「事前に 調整して、ようやく良い結果という感じだ」と述べた。

財務省が昨日発表した10年物国債339回債の入札結果では、最低落 札価格が市場予想を上回り、小さければ好調なテール(落札価格の最低 と平均の差)は3銭と1月以来の水準に縮小。投資家需要の強弱を示す 応札倍率も前回から上昇した。

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