【日本株週間展望】軟調、米統計控え上昇速さ警戒-下値限定

6月1週(1-5日)の日本株相場は軟調と なりそうだ。海外で重要経済指標の発表が相次ぎ、米国の利上げ時期を めぐり景気、為替動向に対する不透明感が一時的に高まる可能性があ る。株価の上昇スピードの速さも警戒される。

みずほ投信投資顧問の清水毅チーフストラテジストは、「為替以外 に材料の乏しい中、円安も株価の動きもスピードが速い」と指摘。1週 間という短い期間で区切れば、「為替も株価もスピード調整が必要」と 話している。

5月第4週の日経平均株価は週間で1.5%高の2万563円15銭と3週 続伸。為替の円安進行による業績期待、企業のコーポレート・ガバナン ス強化の流れが好感され、輸送用機器やゴム製品、機械といった輸出関 連、銀行や保険、鉄鋼株などが買われた。

為替市場で28日、ドル・円相場が1ドル=124円46銭と2002年12月 以来、約12年半ぶりのドル高・円安水準を付けた。半年間にわたるドル の上値抵抗ラインを抜け、ドル高トレンドに拍車が掛かっている。消費 者物価や耐久財受注など複数の4月の米経済統計が改善を示し、連邦準 備制度理事会(FRB)のイエレン議長は22日の講演で、予想通りに景 気が回復すれば、年内利上げが「適切になるだろう」と述べた。追加緩 和観測が残る日本との金融政策の違いが市場で意識されている。

コモンウェルス銀行のストラテジスト、ピーター・ドラギセヴィッ チ氏は「12月の米利上げを予想しているが、リスクは利上げ前倒しに傾 いている。市場で前倒し観測が強まれば、ドルにはプラス」と言う。

5月の米統計発表、日経平均は歴史的連騰

第1週は、米国で5月の重要経済指標の発表が相次ぐ。1日に米供 給管理協会(ISM)の製造業景況指数、3日にISM非製造業指数、 5日に雇用統計があり、エコノミスト予想ではISM製造業が52(前 回51.5)、非製造業が57(同57.8)、雇用統計での非農業部門雇用者数 の伸びは前月と同じ22万3000人が見込まれている。

「米景気は1-3月の寒波の影響がなくなり、4-6月は戻ってき ているが、ドル高の影響で期待したほど力強くはない」と、みずほ投信 の清水氏。ドルは先行して買われてきただけに、「経済指標が強くても ドルは横ばい、逆に弱い数字が出たときにドルが売られ、日本株が調整 する可能性がある」とした。

世界的な過剰流動性や円安による業績押し上げ期待で、29日に11連 騰となったTOPIXは09年8月(13連騰)以来、日経平均は1988年2 月(13連騰)以来、27年ぶりの連続上昇を記録した。一方、テクニカル 指標の1つで、過去の上昇幅と下落幅から買われ過ぎ、売られ過ぎを判 断する相対力指数(RSI)は、TOPIXで73と買われ過ぎの70%を 超えてきている。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の鮎貝正弘シニア投資ストラ テジストは、「連騰してきたことで第1週の株式市場は踊り場になるの ではないか」と予想。日経平均のPERはリーマン・ショック後の平均 で14.8倍、標準偏差で1シグマ分ずれると16.5倍程度が上限になるが、 足元でその上限に達し、バリュエーション面でも「買い上げるにはいっ ぱいいっぱいのところにきた」とみる。

チャート分析上、日経平均は直近の2万円超で19-20日、22-25日 の間に窓を開けた。水準は2万87-2万148円、2万278-2万318円 で、相場の調整時は2万100円、2万300円程度が下値めどになる。

インバウンド、企業統治コードなど下支え

もっとも、日本株が大きく調整するリスクは小さそうだ。損保ジャ パン日本興亜アセットマネジメントの木谷徹常務執行役員は、「為替の 円安は以前に比べると輸出関連の利益に与える影響は限定されるが、む しろインバウンドを通じ国内消費に対しどう影響するかが話題になりそ う」と言う。ドル高で米国株の上値が重くなる半面、円安による海外か らの訪日外客数増加は国内景気の押し上げ要因になるため、日本株は 「米国株と乖離(かいり)していく」と予想した。

また、東京証券取引所は社外取締役を2人以上置くことなどを柱と し、有価証券上場規程の別添として定めたコーポレートガバナンス・コ ードを6月1日から適用する。損保J興亜の木谷氏は、「ガバナンスの 方向が強化に動くことは株価にプラス」と評価。みずほフィナンシャル グループが政策保有株の保有意義検証や議決権行使基準の開示方針を明 らかにするなど、企業価値向上への動きも下支え要因になる。

東海東京調査センターの仙石誠マーケットアナリストは、 TOPIXが下げ相場から上昇相場へ転じた昨年5-6月時のように、 長期連騰は「後々振り返ってみると、重要な局面で起こっている」と指 摘。今回も、日経平均ではITバブル時の2000年4月高値の2万833円 を奪回する「1つの記録として刻まれるのではないか」と話した。

このほかの投資材料は、中国で1日に5月の製造業購買担当者指数 (PMI)、欧州では2日にユーロ圏5月の消費者物価、3日に欧州中 央銀行(ECB)理事会などがあり、国内では1日に1-3月期の法人 企業統計の公表が予定されている。

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