日本国際化の顔となった女性技師、性差別超えインドで頂点に

阿部玲子さんは土木技師になったものの、就 職先が見つからなかった。女性が建設中のトンネルに入ると嫉妬深い山 の女神の怒りを招き、労働者に事故が起きるという神道の古い迷信があ り、そうした考え方が労働基準法にも一部反映されていたからだ。

それから20年後、日本が働く女性の後進国および不毛の地とのイメ ージ克服を目指す中で、阿部さんは日本の国際化の顔となった。阿部さ んが登場する日本の政府広告は、CNNやBBCで放送された。阿部さ んは海外での日本の長所や国内での女性昇進の象徴として、安倍晋三首 相から称賛された。日本で女性が管理職に占める割合は5%未満に過ぎ ない。

皮肉なことに阿部さん(51)の仕事場は日本ではない。インドの地 下鉄建設プロジェクトの安全性を7年間監督した後、ACKグループ傘 下のオリエンタルコンサルタンツ・インディアの社長に昇進した。

ヘルメットに安全チョッキ、安全靴姿の阿部さんは、ここ1カ月で 数回にわたったインタビューで、「私が一番大事にしてるのが安全性」 と説明。「多分それは私が女性だったから。ともかく危ない目に遭わな いように、そして同じように危ない目に遭わせたくない。そういうのは 自分にもあるので、それを大事にするというのは他のエンジニアとは少 し意識が違ってると思う」と語った。

阿部さんは過酷な移動日程を組んでいる。ホテル住まいでわざわざ 家を借りることもない。現場で女性は阿部さん1人である時が多く、多 い時は4万人の男性労働者に囲まれて働く。「まず体が丈夫で、タフと いうか柔軟な人が求められる。常に日本では想像もできないことが起こ る」と語る。

前途がない

阿部さんは山口大学工学部を卒業後、神道の考え方や女性保護をめ ぐる家父長的な通念のため、自分には前途がないことがわかった。地下 の建設現場や鉱山などの坑内で女性が働くことを禁止する労働基準法 は、2006年まで改正されなかった。

「どんなに勉強をしてもどんなに経験を積んでも変えられない。そ れはすごく悔しかった」と話す。そのデメリットを克服する方法を見つ けなければならず、「それが英語であり発展途上国の経験であり、特に 難しいと言われてる南アジアの仕事だった。それを積み重ねていくうち に、いつの間にかそのすべてが私の武器になった」

1年足らずで英語を独習し、ノルウェー科学技術大学の修士課程に 合格。その後に研修ポジションを得てやっとトンネルで働くことができ た。ノルウェー本土とマーゲロイ島を結ぶノールカップ海底トンネルプ ロジェクトだ。

男性だったら「私は恐らく海外には行っていなかった。国内で普通 に仕事ができたのに、わざわざ海外に行く必要はない。ただ私は海外し か生き残っていく道がなかった。だがら女性であってよかったと今は思 う」と話す。

阿部さんは自身が「日本の国際化の代表みたいになっている」と認 めながらも、「本当はすごく恥ずかしい」と打ち明けた。

インド初の新幹線を見るのが目標だという阿部さんは、日本に働き に戻ることはないと話し、「女性だけではなく日本の全てのエンジニア の中でトップになりたい」と意気込みを語った。

原題:Japanese Engineer Defies Sexism to Make India Rape Capital Safer(抜粋)

--取材協力:Isabel Reynolds.

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