新生銀の工藤次期社長:GEの日本リース事業に関心

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新生銀行の工藤英之次期社長(現常務)は、 ブルームバーグとのインタビューで、米複合企業ゼネラル・エレクトリ ック(GE)が売却を進めている日本のリース事業の買収を検討する方 針を明らかにした。傘下のリース会社との相乗効果などを見極めた上 で、実際入札に参加するするかどうか判断する。

工藤氏(51)は、「われわれの既存ビジネスとのシナジーがあれば 大いに関心がある。門戸が開かれるなら積極的に参加するつもりだ」と 語った。その上で、GEの日本のリース事業は「ビジネスとして安定し ており、きちんとクオリティーコントロールが効いているという信頼感 がある」と評価した。同行は傘下に昭和リースを持つ。

GEは4月に金融事業からの撤退を発表し、世界で資産の一部売却 を進めている。新生銀は2008年にGEから消費者金融レイクを買収した 経緯がある。新生銀は前身の旧日本長期信用銀行が経営危機の際に公的 資金の注入を受け、現在も普通株式で残っている。返済に向け事業多角 化などで収益力向上を目指している。

工藤氏は、GEについて「もともとレイク買収で関係は強い。カル チャーの親和性も高いと思う」と述べた。日本以外でもアジアパシフィ ックなどの金融事業の買収に関心を示した。

消費者金融の海外展開

工藤氏は、消費者金融事業について「国内市場は中長期的に飽和状 態になる」と分析。新たな成長に向けて海外展開を検討中で、進出先は 経済成長を続ける「ASEANや中国」を候補地に挙げた。その際、買 収が視野にあるほか、事業をコントロールするため「それなりの出資比 率のジョイントベンチャーや単独設立も選択肢」と述べた。

新生銀は「レイク」ブランドに加えて、傘下のシンキ(貸金業)や アプラス(信販)などを含めて個人向け金融事業を強化している。3月 末の融資残高合計は約5100億円だった。このうち、中核のレイクと新生 フィナンシャルの無担保ローン残高は3350億円で、2年前から増加に転 じた。今期はこの2社で12%増加の約400億円を積み増す計画だ。

見えない公的資金完済

大手銀行ではりそなホールディングスとあおぞら銀行が相次いで公 的資金の完済計画を発表する中、新生銀にはまだ普通株で2169億円が残 る。政府の保有株数で割ると1株当たり463円となり、政府が売却して 資金を回収(新生銀にとっては返済)するには、株価がこれを上回る必 要がある。28日の新生銀株の終値は246円だった。

公的資金について新生銀の工藤氏は、「はっと気付いたら他行はエ クジットしており、大きく出遅れた」と述べた。完済に向けて「返済原 資を貯めることが出発点になる」とし、そのためにはまず収益を安定し て積み重ねていくことが重要になると指摘。マーケットからの評価を得 て株価上昇につなげていきたい考えも示した。

新生銀株の29日終値は前日比2.4%高の252円。

●工藤英之(くどう・ひでゆき)63年9月1日生、大阪府出身、51 歳。87年3月東大法卒、第一勧業銀行(現みずほ銀)入行、10年新生銀 入社、常務執行役員法人・商品部門副部門長、11年同ストラクチャード ファイナンス本部長、13年同チーフリスクオフィサーリスク管理部門 長。6月17日の株主総会後に代表取締役社長に就任する予定。