三菱重:GE、シーメンスの2強に挑む-時価総額2倍以上の規模へ

三菱重工業は、米ゼネラル・エレクトリック (GE)や独シーメンスといった重電事業での世界2強に立ち向かうた め、株式の時価総額を現在の2倍の規模を目指すなど、積極的な拡大を 打ち出す。

宮永俊一社長は8日、中期経営計画の会見で「シーメンスやGEと は体格がだいぶ違う」と述べた上で、「中身について十分に戦うところ まで持っていくには、最終的に時価総額を最低限2倍以上にしないとい けない」と話した。特別損失の削減など自己資本をある程度厚くし、 「さらにM&A(企業の合併・買収)を続ける。もっと大胆な再編をや ることによって価値を高めていく」と企業価値の拡大に意欲を示した。

宮永社長は、再編の詳細について現段階では「デリケートな問題」 として明言は避けた。財務基盤の強化では、大型のM&A案件などが必 要になる場合に備えて2018年3月期までに6000億円以上の資金調達余力 を確保する計画だ。M&Aなどを積極的に活用しながら構造改革を進 め、収益の柱に育てるられるかどうかが、グローバル競争に勝ち残るた めの鍵となる。

三菱重が変革を意識する背景には、巨大なライバルの存在がある。 同社の現在の時価総額は約216億ドル(2兆7000億円)とGEの約2800 億ドル、シーメンスの約950億ドルとは大きな差があるほか、両社は大 胆な経営改革も打ち出している。

GEは金融部門を大幅に縮小し、原点である製造業部門への回帰を 目指すと発表した。シーメンスも同社の社員数の約4%に相当する1 万3000人の人員削減策を発表している。昨年、仏アルストムの火力発電 設備などエネルギーインフラ部門の争奪戦をめぐり、三菱重はシーメン スと共同提案に乗り出したが、最終的にGEに競り負けた。

航空事業を柱に

グロース&バリュー・ストック・リサーチの井原翼代表は、三菱重 が世界2強に追いつくためには、ガスタービンなど利益の半分以上を稼 ぐエネルギー部門以外で、第2、第3の収益の柱になるような事業を育 成することが必要だと指摘し、可能性ある分野として航空事業を挙げ た。GEやシーメンスとの規模の差は、収益の大きな柱となる事業が重 電に限られているためだと話した。

井原氏は「売り上げの数値目標よりも、どの事業で成功させていく かという経営計画の骨格が必要」とみる。航空機事業が「アジアの需要 が相当あり、圧倒的な成長産業」だとし、この分野への「経営資源の配 分が弱いのではないか」と述べた。

三菱重は国産初のジェット旅客機三菱リージョナルジェット (MRJ)を開発中で17年4-6月に初号機の納入を予定している。同 社は旧日本海軍の零戦を手掛けた企業として世界的にも知られるが、戦 後の日本企業は民間航空機分野において、米ボーイング向けなどの部品 製造が中心となっていた。

売上高5兆円に

同社が8日に発表した中期経営計画では、前期に3兆9921億円だっ た売上高を18年3月期には5兆円に、営業利益を2961億円から4500億円 に拡大することを目指している。さら株主資本利益率(ROE)を10% 以上、配当性向については30%前後を目指すと初めて明記した。

みずほ証券の若栄正宣シニアアナリストは同社について、以前は ROEなどの経営目標を示さなかったことを振り返り、「会社の変革と いうものが投資家に伝わってきている」と話した。同社の株価は28 日、07年8月9日以来7年9カ月ぶりの高値を付けた。中計発表前日の 7日から28日までの期間で株価は18%上昇した。

若栄氏は「売上高5兆円というのは通過点で、その次の展開も面白 い」と述べ、「会社としても改革が完成していないことから伸びしろも 大きい」との見方を示した。

クレディ・スイス証券の趙雲超アナリストは、三菱重について、欧 米2社と重複していない事業もあることなどから、「GEやシーメンス と同じような会社になる必要はないものの、大型のM&Aや受注案件が 出て競争になるというような重要な局面では、ある程度の規模は必要と なってくる」と語った。

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