国内企業の株主還元、過去最高12.8兆円は始まりにすぎず-生き残りへ

株主に出し惜しみすることで長く知られてき た日本の企業が2015年3月期、過去最高となる株主還元を行った。これ はまだ始まりにすぎないようだ。

野村証券によると、配当と自社株買いを合計した株主還元は15年3 月期に前の期比76%増加して12兆8000億円となり、今後も増加する見通 し。以前は想像もつかなかった一例として、秘密主義の産業用機械メー カーのファナックが、物言う株主として知られるダニエル・ローブ氏が 変革を求める中、配当性向を倍増させたことが挙げられる。

こうした動きは必要に迫られて始まったもので、企業が突然気前良 くなったわけではない。日本の年金や預金の蓄積は人口減少に伴って縮 小しており、企業は従来の投資家層だった消極的なファンドマネージャ ーたちを超えた層を魅了しなければならないと考え始めている。

JPモルガン証券の元株式調査部長、イェスパー・コール氏は「私 は以前日本のことを、裕福な家庭に生まれた子どもと呼んでいた」と話 す。勉学に励まず、成績が悪くても何の影響もないからだという。今で は黒人やヒスパニック系住民が多いニューヨーク市のブロンクス地区か ら奨学金をもらいやってきた学生に例えると話す。「つまり生き残り だ」という。

コール氏によると、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF) の130兆円を超える世界最大の運用資産は今後5年間で毎年約2%ずつ 縮小するという。退職者への年金支払い額が現役世代の積み立て額を上 回るためだ。日本の65歳以上の人口割合は世界で最も高い。内閣府によ ると、13年度の家計の貯蓄率はマイナス1.3%となった。ほぼ同条件で 比較可能な1955年度以降で初めてとなるマイナスだ。

原資

一方で企業は最高益を更新し、還元の原資は十分だ。ブルームバー グの集計データによると、国内202社の前期の純利益は前の期比約5% 増の18兆8000億円だった。市場予想の集計によると、今期はさらに17% 増が見込まれている。

企業と株主の関係について安倍晋三政権も対話の機会を増やし持続 的な成長を促すための制度作りを進めている。こうした動きと連動して 作られ、株主資本利益率(ROE)や営業利益動向を重視する株価指 数、JPX日経インデックス400は今月27日の取引で、作成以来の最高 値を更新した。