ギリシャがIMFに返済しなければどうなる?-Q&A

資金繰りに苦しむギリシャは6月中に国際通 貨基金(IMF)に計約16億ユーロ(約2100億円)を返済しなければな らず、ブーチス内務相は同国向け融資再開で合意できない限り返済は不 可能であり、行われないだろうと述べた。この問題をめぐるQ&Aは以 下の通り。

Q:ギリシャの今後のIMF返済期日は。 A:ギリシャはこれまでにIMFから受け取った救済融資の元本約200 億ユーロを9年間で返済しなければならない。6月には4回の返済が控 えており、合計額は約16億ユーロ。最初は5日の3億800万ユーロで、 その後は12日の3億4700万ユーロ、16日の5億7800万ユーロ、19日の3 億4700万ユーロと続く。返済は特別引き出し権(SDR)建てのため、 ユーロとSDRの交換レートに応じてユーロ建ての金額は変わる。

Q:6月の返済が懸念されているのはなぜか。 A:ギリシャは資金調達で債券市場を活用できず、債務の借り換えはユ ーロ圏とIMFからの救済融資に頼っている。ギリシャ政府が底を突き つつある準備金をIMFの支払いに充てるか、それともデフォルト(債 務不履行)状態に陥ることを選ぶかは政治的決断となる。

Q:ギリシャは返済できるのか。 A:ギリシャの流動性ポジションに詳しい関係者によれば、同国は少な くとも6月5日の返済を行うのに十分な現金を保有する。ギリシャ支援 交渉に関与する当局者は今月、ギリシャが利用可能な全ての準備金を集 めれば6月最終週まで支払い能力を維持できると述べた。しかし同国の 流動性状況が逼迫(ひっぱく)しているため、突発的な事態が起こり得 る。例えば、税収が予想を下回れば、政府が期日通りの支払いができな いと認識した際には、既に手遅れの恐れもある。

Q:ギリシャはIMF返済の延期を要請できるか。 A:IMFは優先債権者であり、融資再編は行わないし、減免を受け入 れない。ただ1カ月の間に複数回の元本返済がある場合、借り手が一括 払いの許可を求めることができる。ギリシャの場合は来月の最後の期日 である19日の一括返済にして時間を稼ぎ、その間に債権者との妥結を目 指すことになる。ただし一括返済にはIMFの許可が必要であり、ギリ シャ政府のサケラリディス報道官は25日、この選択肢は検討されていな いと述べている。

Q:IMF返済が滞った場合どうなる。 A:主要格付け会社3社はIMFのような公的債権者を証券などの保有 者と区別しており、公的融資の延滞は必ずしも「デフォルト」カテゴリ ーへの格下げにつながらない。また結局のところ、ギリシャがデフォル ト状態と正式に見なせるかどうかはそれほど重要性を持たない可能性が ある。延滞で最も直接的な影響を受けるのはギリシャの銀行だ。ギリシ ャの銀行は支払い能力の維持を欧州中央銀行(ECB)からの緊急流動 性支援(ELA)に頼っているが、ECBがこれらの銀行には支払い能 力がない、あるいは十分な担保を保有していないと判断した場合、 ELAが制限ないし打ち切られる可能性がある。

最良のシナリオではECBがギリシャに対し、極めて短期間のうち に債権者と合意して国の支払い能力、すなわち銀行の支払い能力を回復 させるように期限を設定するというものであり、ECBは実際にキプロ スでこうした措置を講じている。別のシナリオは、ECBがELAの即 時停止を決定するというもので、銀行は長期休業と厳しい資本規制を強 いられることになる。

Q:その後どうなる。 A:IMF返済の滞りがELAの制限や銀行の休業につながれば、政府 は短期的に債権者との合意を目指す機会を得られる可能性がある。これ で合意に達しなければ、ギリシャの銀行は破綻し、預金者が損失を被る ことになり、ギリシャのユーロ離脱が現実味を増す。

Q:IMF側はどう動くか。 A:期限が超過して2週間後に再び返済を促す。その2週間後に専務理 事が理事会に延滞を報告する。ギリシャの場合、これがさらに重大な結 果を引き起こす。これはクロス・デフォルトやクロス・アクセラレーシ ョンとして知られる。

Q:クロス・デフォルト、クロス・アクセラレーションとは。 A:ギリシャのIMF向け債務がデフォルトとなれば、クロス・デフォ ルト条項に基づき、欧州救済基金を含む他の一部債権者もデフォルトを 宣言できるほか、アクセラレーション(期限の利益喪失)条項に基づ き、債務の残り全額を直ちに支払うよう要求できる権利も生じる。他の 貸し手もその後追随する可能性があるが、アクセラレーションの発動は 自動的には行われず、それぞれの債権者が判断する。

原題:What Would Happen If Greece Doesn’t Pay the IMF: Q&A(抜 粋)

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