【日本株週間展望】決算後の割安修正続き堅調、欧州金利注視

5月4週(25-29日)日本株は堅調に推移す る見通し。企業による今期の増益計画を受け、PERなどで割安に放置 された株価の修正が続く。自社株買いや増配など株主還元を評価する動 きも根強い。一方、世界的な過剰流動性相場の中で欧州との連動性が強 まっており、欧州の長期金利動向などにはなお注意が必要だ。

岡三オンライン証券の伊藤嘉洋チーフストラテジストは、「良好な 投資環境や需給を背景に割安修正も進み、日経平均株価は意識とし て2000年高値の2万833円を目指す」と予想している。

第3週の日経平均株価は週間で2.7%高の2万264円41銭と続伸。週 間上昇率は1月3週の3.8%に次ぐことし2番目の大きさで、国内景気 や企業業績の改善傾向を好感、海外株式や為替の安定も支援材料に全般 的な底上げの様相を強め、東証1部の時価総額は22日に591兆3007億円 とバブル絶頂の1989年12月に記録した史上最高記録を塗り替えた。

「決算が一巡し、16年3月期の1株予想利益は日経平均採用銘柄 で1239円(21日時点)まで上昇している。4月23日高値時のPER が18.2倍だった。今は16.3倍まで下がっている。出遅れ修正という形で 堅調に推移する」と岡三証の伊藤氏はみる。

増配や自社株買い、コーポレートガバナンス(企業統治)の強化な ど経営効率の向上につながる明るい材料も引き続き日本株の支援材料に なりそうだ。SMBC日興証券の阪上亮太チーフ株式ストラテジスト は、直近の決算発表では想定よりも自社株買いの発表が少ない印象だっ たものの、「コーポレートガバナンス・コードを受けてのガバナンス改 革本格化は、むしろこれから」と言う。

東証1部33業種で第3週の上昇率上位に並んだ保険では、今期の増 配方針や自社株買い計画が好感された損保ジャパン日本興亜ホールディ ングス、MS&ADインシュアランスグループホールディングスの急伸 ぶりが目立った。

海外統計、金利動向には敏感か

一方、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤戸則弘投資情報部 長は、日経平均が4月高値から1000円安した後、V字回復を果たした点 に言及。「ここからさらに買い上がるためには、欧州が一段と落ち着き を取り戻す必要がある」とみている。

日米欧3極で量的緩和方向にあるのは日欧で、利上げ時期を模索す る米国との違いが鮮明だ。世界の潤沢なマネーは流動性相場が見込まれ る欧州、日本株に流れやすく、藤戸氏も「日経平均が2万円台を付ける 原動力になったのは欧州投資家」と指摘した。東京証券取引所が20日に 公表した4月の海外投資家地域別株券売買状況によると、欧州勢の買越 額は7585億円と13年12月以来の高水準に膨らみ、アジア勢の4536億円、 北米勢の4826億円を大きく上回った。

独10年債利回りは4月17日に過去最低の0.049%まで低下した後、 5月7日に0.777%まで急上昇し、その後は落ち着いている。欧州中央 銀行(ECB)のクーレ理事は19日の講演で、5月と6月にユーロ圏の 資産購入を増やす意向だと発言。休暇シーズンになる夏場に流動性が低 下する債券市場のパターンを意識しているとした。「ECBは金利急騰 に対して警戒感を持っている」と藤戸氏。日本株も欧州の金利推移、投 資家動静に神経質にならざるを得ない。

野村証券投資情報部の山口正章エクイティ・マーケット・ストラテ ジストは、米国経済の動向に注目している。「経済指標があまり良くな かったことで金利が下がった、というのが第3週の動き」とし、第4週 に発表される4月の米耐久財受注、新築住宅販売がポイントと言う。

ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想によると、26日発表の 米製造業耐久財受注は航空機を除く非国防資本財(コア資本財)ベース で前月比0.4%増と、3月の0.5%減から改善する見込み。4月の米新築 住宅販売件数は前月比4%増の50万戸が想定されている。3月は11%減 の48万1000戸にとどまった。

このほかの投資材料は、国内で25日に4月の貿易統計、29日に全国 消費者物価指数や鉱工業生産、家計調査が公表予定。海外では、25日の 米市場がメモリアルデーの祝日で休場、27-29日は主要7カ国(G7) 財務相・中央銀行総裁会議がドイツで開かれる。