悪夢に取りつかれたイエレン議長-タントラムがトラウマに

米金融当局が約10年ぶりの利上げの準備を進 める中で、連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長は2年前に債 券利回りが急上昇した「テーパータントラム」の悪夢に取りつかれてい る。

FRBが20日に公表した4月28、29日の連邦公開市場委員会 (FOMC)議事録では、いったん利上げに踏み切った場合、過去最低 に近い債券利回りが急上昇しかねないとイエレン議長ら金融当局者が懸 念している様子が示された。

そうなれば、住宅ローンや自動車ローンの金利も上昇し、まだ脆弱 (ぜいじゃく)な景気回復がリスクにさらされる危険がある。

イエレン議長は2013年に同じような事態を経験した。前任のバーナ ンキ議長(当時)が、景気刺激のための債券購入の規模を縮小し始める 可能性を示唆すると、米国債利回りは急上昇した。

同様の事態が起きれば、金融当局はより緩やかな引き締めの道筋を たどるよう促されるのではないかとTDセキュリティーズUSAの米国 担当ストラテジスト、ジェナディ・ゴールドバーグ氏(ニューヨーク在 勤)は指摘する。

ゴールドバーグ氏は「仮にテーパータントラムのような展開となっ て、大掛かりな再調整によって金融当局の引き締めの一部を市場が肩代 わりする格好となれば、速いペースあるいは大幅な利上げを行うべきで ないと当局者が心配するかもしれない」と分析。「利上げ開始のタイミ ングがそれで変わることはなかろうが、将来の引き上げペースに変化が 生じるだろう」と予想した。

議事録によれば、4月のFOMCでは米国債市場の構造変化によっ て利上げに対する反応が増幅される可能性も指摘されていた。ストラテ ジストらは、流動性の低下がボラティリティ拡大のきっかけの1つにな るとみている。

ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズのチーフ・ポ ートフォリオストラテジスト、ローリ・ハイネル氏は「利上げについて 当局者が語ると、債券相場が急落してきた過去の経緯をわれわれは承知 している」と述べ、パニックを引き起こさずに市場を落ち着かせること が金融当局の課題になるとの見方を示した。

原題:Yellen Haunted by Taper Tantrum as Fed Rate Rise Draws Closer(抜粋)

--取材協力:Christopher Condon.